第74回安田記念

◎5枠10番・ソウルラッシュ(ジョアン・モレイラ騎手)


機は熟した。

『三度目の正直』、叶える資格は得たはずだ。

まず、馬自身。

2022年、ソングラインが制した時は、13着に終わった。

その時は、G1初挑戦だった事もあり、今後の糧になっていくと思われた。

ところが、勝利の味から遠のく日々の始まりになっていくのである。

2着、4着、3着と、惜敗を重ねてしまい、二度目の挑戦となった2023年。

ソングライン連覇達成の裏で、9着止まりに終わってしまった。

捲土重来を期して、秋競馬の初陣に選んだのは、中山競馬場で行われた京成杯オータムハンデキャップ。

1分31秒6で駆け抜け、2着馬をクビ差退けて、待望のG1制覇に向けて、視界良好になった。

その後、京都競馬場で行われたマイルチャンピオンシップ。

1枠1番から、夢に近付こうとした矢先に・・・

至福の時間は、持ち越しとなり、今日に至っている。

これまで積み重ねた想いを、形にしたいだろう。

次に、人自身。

香港競馬界を盛り上げたレジェンドの一人。

『マジックマン』の愛称を授かったブラジル人ジョッキー。

日本競馬界にも参戦し、多くの物語を演じ上げている。

初めてタッグを組んだのは、前述の通り、京都競馬場で行われたマイルチャンピオンシップ。

最内枠から、マジックマンらしい騎乗振りで、待望の瞬間をエスコートすると思われた。

しかし、悔しい現実が待っていた。

ナミュールと代打騎乗だった藤岡康太騎手とのコンビが、外から、鋭い末脚を繰り出し、栄光のゴールテープを切ったのである。

責められない敗戦。

受け入れられない結果。

言葉で、表現し難い感情だっただろう。

無念を晴らしたい一心で、継続騎乗となった香港マイル。

ゴールデンシックスティの前に屈してしまい、「それ4」に終わってしまう。

だが、勝利への意欲は、この2戦で、より高まった事だろう。

陣営の方々は、並々ならぬ思いがあるはずだ。

これまでの中で、一番ビッグタイトルに近い位置にいるのだから。

『Soul』は、『魂』の意である。

どんな闘いでも、共通事項がある。

「最後は、気持ち」なのだ。

その想いが、一番強かった者に、スポーツの神々は、栄光の称号を授けるのである。

さあ、掴み取ってくれ!

共に、闘おう!!

そして、勝とう!!!

「『マジックマン』ここにあり!!」と、威風堂々と示そう!!!!!

熱き時間、堪能出来る事を祈っている。




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