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広報誌と田舎の経営課題

お盆なので実家(田舎)に帰省中です。

見渡す限りの田園風景。カエルの鳴声と静かな星空。シャキシャキきゅうりとキンキンに冷えたビール。田舎を感じて、いいナカ。

いい感じで、夏休み満喫してたら、朝から市の職員が訪ねてきて、面倒な作業が発生。

▶目次
・田舎の広報誌
・リサーチ① 市の財政状況
・リサーチ② 広報誌の発行コスト
・リサーチ③ 広報誌の役割と効果
・○○市への質問・要望

◆田舎の広報誌

市の職員:「○○のものですー、今月の広報です、よろしくお願いしまーす。」

おれ:「あ、はい、ありがとうございます。」

おれ:「何か、市役所の人が広報誌やらチラシやら大量に持ってきたんだけど…。」

父:「それ、地域の人に配るから、全部仕分けしておいて。俺は草刈りしてくるから。」

おれ:「 ……。……。」

おれ:「帯に32って書いてるけど、まさか32世帯に配るの?」

父:「そう。今年は町内会の会長しているから仕方ない。ただ、役員が6人いるから、うちが配るのは6世帯で、あとは役員。」

おれ:「1、2、3…、全部で10種類もあんじゃん」

おれ:「この作業って毎月1回発生すんの?」

父:「毎月2回かな。」

おれ:「ちなみに、この作業はおれらの地区だけ?市の問題?県の問題?それとも日本の問題?」

父:「知らない。始まったのは2年前から。」

おれ:「帯に○○地区No.××って書いてあったから、少なくとも市単位で発生している問題だろうな。」

愚痴りながらも、作業終了。
頭の中は以下のイライラでモヤモヤ。

・この作業で市の職員は給料もらってるのか、市民に外注したら無料だもんな

・どうせたいした情報もないくせに、こんな大量に持ってくんじゃねーよ

・これって印刷代とか、製本代とかけっこうなコストかかってるよな

・そもそも、広報誌の需要どんだけあんだよ

・紙じゃなくてよくね

・財政も苦しいくせに、税金の無駄遣いしてんじゃねーよ

ちょっと感情的になってしまった。
自分の故郷の未来のために、このモヤモヤを解消するために、いろいろ考え、3つのリサーチをすることに。

◆リサーチ① 市の財政状況

市のHPにアクセスし、公開されている決算書や統計データを見てみた。

【R2年7月末時点】
・人口 88,000人
・世帯数 34,000世帯
・生産年齢人口 45,000人(51%)
・老年人口 34,000人
・高齢化率38%

【H30年度=H31年3月決算】
・歳入544憶円
・歳出522憶円
・収支+22憶円
・債務償還可能年数6.1年

→あれ、思ってたより全然良いじゃん。

ただ、

歳入
・市税85憶円(歳入のうち15.6%)
・地方交付税210憶円(歳入のうち38.6%)
・市債59憶円(歳入のうち10.8%)

→歳入の中身を見ていくと、実態は国から地方交付税という名の財源保障を受け、市債発行で資金調達して、何とか若干の収支黒字を確保。

歳出
・扶助費88憶円(歳出のうち16.9%)
・投機的経費84憶円(歳出のうち16.1%)
・人件費79憶円(歳出の15.1%)

→歳出の中身を見ていくと、3大コストは、扶助費、投資的経費、人件費。高齢化による社会保障関係費の増加に伴う扶助費の増加、公共施設の解体や駅前再開発等に伴う投資的経費の増加は、まぁ理解できる。

また、
・R1年度は収支トントンで着地
・R2年度~R7年度の中期財政見通しでも収支トントン(地方交付税、市債等を含めた見通し)

→人件費はR2年度計画101億円。ん?一般社員数は減少乍ら、再任用職員の増加で、30年度比+22億円見込み。は?あきらかな異例値。その人件費は本当に必要ですか?コストを削減し、生産性を高めれば、その人件費いらなくね?その財源をもっと、効果的に投資してほしいんだけどな…。もしも民間企業だったら、とっくに潰れてるからな。こんなに手厚い支援受けといて、これが当たり前って思うなよ、甘えんなよ、もっと危機感持って、1秒1秒を大切に働けよな!

→シナリオ通り推移しても、国の補助と資金調達なしでは歳出の50%程度しか稼ぐ力がない。「歳入<歳出」という経営構図。現在も、未来も、市が経済的に自立しているとは言えない状況。歳入の面では、本業である市税(個人市民税・法人市民税)をいかに増やすか。歳出の面では、コスト削減と生産性の向上をどのように実行するのか。

⇒その業務って意味あるの?投資対効果は?やめれないの?減らせないの?総じて、まずはコスト削減をしましょう。

◆リサーチ② 広報誌の発行コスト

実際、広報誌の発行コストはどれくらいなんだろ?

決算書からは分からず、ネットでも各自治体によりケースバイケース。

そのため、ざっくり感覚ベースで推定してみた。

・印刷費と製本費
1部50円×34,000世帯×2回×12ヶ月=4,080万円

・配布の人件費or外注費
18万円×18人×3/20日×2回×12ヶ月=1,166万円

(前提条件:市役所初任給18万円、34,000世帯÷32世帯=1,063世帯へ直接配布、20営業日、3日で配布完了、1日20件訪問、月2回発行)

→発行コスト約5,200万円

⇒歳出全体に占める比率で見たら、優先度合いは低いものの、実額では5,200万円、10年間で5憶2,000万円。よって、削減する価値あるものと思料。

◆リサーチ③ 広報誌の役割と効果

そもそも広報誌の存在価値って何だ?
(株)DEALのまとめによると以下3つ

役割:① 自治体の方針を住民に浸透
効果:① 情報提供・行動喚起

役割:② 住民と自治体が歩み寄るツール
効果:② 愛着心

役割:③ 地域活性化のアピール
効果:③ 地域ブランド化

→たしかに! まぁ、そうだよな。

でも、

①と②は、紙である必要性ってある?

データ(≒HPで勝手に見て!)のデメリットは2つ。

1)検索しないと情報が入ってこない
2)高齢者がアクセスできない可能性が高い

この逆が、紙のメリットなわけだ。

実際、紙で配付される広報誌やチラシの中身は、健康づくりの無料講座案内だったり、募金の案内だったり、振り込め詐欺の注意喚起だったり…etc。

何が言いたいかと言えば、万が一知らなくても問題ない、重要度も緊急度も低い情報だということだ。

なぜならば、
・一般常識や時事ネタはテレビのニュースで分かる
・家に設置されている戸別受信機のアナウンスでイベント情報を流すだけで十分

加えて、ますます高齢化が進む中、高齢者の市民が、広報誌の仕訳&配付をできなくなる日がやがて来る。

⇒紙じゃなくても、不便なし。財政難なんだから、贅沢言わない。

③は、対外向けに特化したオムニチャネルを構築するといいんじゃないかな。

自治体広報の課題、解決のヒント、成功事例については以下参照。


◆○○市への質問・要望

地方創生とか言う前に、キレイごと抜きに、

☑自治体を経営するという認識ある?職員は地域行政の担い手としてプロ意識持ってる?

☑まず第一に、広報誌の紙媒体での発行やめてみない?きっと問題ないから。もし問題起こったら、そのとき考えよう。大丈夫、その問題は重要でも緊急でもないから。それがだめなら、せめて月2回の発行を月1回にしてみようよ?

☑その業務、やめれない?減らせない?広報誌の件は氷山の一角で、他にもいっぱいあるんじゃない?

☑生産性を向上するためのアクションプランはある?

⇒地元をよろしくお願いします。

◆かっちゃん侍の実践チェックポイント

☑広報誌の仕訳&配付を依頼されたら、快く引き受ける。これも地域のためと思えるか?

☑地域のイベントには主体的に参加する。そこでの地域コミュニティ、人とのつながりを大切にしているか?

☑納税で地元に貢献する。その準備は進んでいるか?

☑地方創生をプレイヤーの立場でやる。個の能力はあるか?頼れる仲間はいるか?




PS. 朝来た市の職員がさっきまた来た。

市の職員:「○○のものですー、広報ですが、誤って同じ書類を2重に入れてなかったですか?回収しにきました。」

おれ:「ありましたよ。これですよね。」

市の職員:「ありがとうございました。」

おれ:「こちらこそありがとうございました。」

めでたし。めでたし。

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