9/28 法政大学経済学研究科社会経済学B受講ノート

法政大学経済学研究科社会経済学Bを受講した内容を記します。

カール・ポランニー「大転換」第一章 平和の100年
19世紀(1815-1914)は西ヨーロッパにおいては平和な100年であった。植民地を除けば戦争の期間は18カ月のみ。
産業革命で世襲的地位を脅かされていた専制君主と封建的権利者が平和に関心を持つ。
神聖同盟でヨーロッパの君主や貴族達は国際的な血縁関係を作り上げ、ローマ教会も彼らに行政機構を提供するような立場だった。
ロスチャイルド家などの大金融家は全ての政府と接触を保ち、戦争に融資する事で財を成していたが全面戦争は彼らが依拠する金融、貿易システムが壊滅してしまうので平和を必要としていた。
ここで語られている「平和」は安定または均衡と読み替えても良いかもしれない。際どいバランスの上に成り立っている状態。

アダム・スミス問題について
「道徳感情論」では交換という行為には相手に対して感情を読み取る気持ちがあるとしているが「国富論」では見えざる手(個々の利益追求の結果、全体的な最適化がなされる)と言っている事は矛盾してないか?という議論。
一方エマ・ロスチャイルド"Economic sentiment"はシンパシーが備わることで市場は回るとしている。信用(Credit)の根本には信頼(Trust)が必要という事。

資本主義の限界について
デビッド・ハーヴェイは資本主義が進むと生産に消費が追いつかなくなることでいずれ破綻すると言っている。その帰結として利潤率の低下や、レーニンは自国外へ進出して行く動機が高まる事で帝国主義的になると説明している。

感想
社会経済学という科目なので当然かもしれないが、市場は万能ではないと言うことをあらためて意識した。また、その万能ではない市場システムをどのように成り立たせるのか、様々な経済学者が考えてきた過程でを経て今の経済システムは成り立っていることが理解できた。