【Pauper】《対抗呪文/Counterspell》から語るURフェアリー その1

解説リスト

「URフェアリー」と言っても今は色々な型がある。
それぞれの型はそれぞれ使用されている方が記事を書かれていたりするので、(他の記事で少し触れる可能性はあるが)ここではあまり触れず、以下のリストを解説することにする。
解説では、デッキのコンセプトから、順番に各カードの採用理由をすべて記載することを目標とする。

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デッキの根幹

以下のカードを活かすことをコンセプトとする。

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Counterspell / 対抗呪文 (青)(青)
インスタント
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。

2マナでほぼ全ての脅威を見ることができる強力なカード。
相手の「状況を優位にするカード」を抑えるという役割があるが、もっと強く使える状況を作らないと基本的には1:1交換のカードであり、プラス1の行動が多いパウパーにおいてはテンポやアドバンテージの面でジリ貧になりがちである。
このカードを強く使うためには、「このカードは他の状況(盤面、ハンド差、ライフ差等)を維持するカードである」という認識を持ち、他の状況、特に盤面で優位を取って相手の選択肢を狭めてから、「優位を取り返すカード」に対して打てる状況を作ることが重要になる。


コンセプトに沿ったクリーチャーの採用

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Spellstutter Sprite / 呪文づまりのスプライト (1)(青)
クリーチャー — フェアリー(Faerie) ウィザード(Wizard)
瞬速
飛行
呪文づまりのスプライトが戦場に出たとき、点数で見たマナ・コストがX以下の呪文1つを対象とし、それを打ち消す。Xはあなたがコントロールするフェアリー(Faerie)の数に等しい。
1/1

カンスペと同じ打ち消しの能力を持ちながら、カンスペが望む盤面優位を早々に作り出せるカード。
カンスペを強く打つための一番の近道であり、また後述する《深き刻の忍者》との兼ね合いや、同名カードを強く打てる場面を増やせるため、対戦開始〜どちらかに状況が傾くまではこのカードの着地を最重要課題としてプレイする。

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Ninja of the Deep Hours / 深き刻の忍者 (3)(青)
クリーチャー — 人間(Human) 忍者(Ninja)
忍術(1)(青)((1)(青),あなたがコントロールする、ブロックされなかった攻撃しているクリーチャー1体を手札に戻す:あなたの手札からこのカードを、タップ状態かつ攻撃している状態で戦場に出す。)
深き刻の忍者がプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、あなたはカードを1枚引いてもよい。
2/2

SSSで出来た小さな優位を、一気に太い勝ち筋まで押し上げるカード。
通るだけでSSSの再利用&ドローによる2枚のアドバンテージをもたらし、さらに相手に対応を迫らせることができる。
余程アドバンテージ差を無視できるデッキでなければこの恒久的なアドバンテージ源を無視することはできず、何かしらの干渉できるカードをプレイしなければならない。つまるところ、一番カンスペを強く使える状況となる。
通った時のリターンがとてつもなく大きいので、積極的にSSSや後述する他のクリーチャーからの忍術を狙っていくために多く積まれているが、膠着状態から優位を作るカードではないため、手札に抱え込む枚数には気をつけたい。

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Augur of Bolas / ボーラスの占い師 (1)(青)
クリーチャー — マーフォーク(Merfolk) ウィザード(Wizard)
ボーラスの占い師が戦場に出たとき、あなたのライブラリーの一番上から3枚のカードを見る。あなたはそれらのうちのソーサリー・カード1枚かインスタント・カード1枚を公開し、自分の手札に加えてもよい。残りをあなたのライブラリーの一番下に望む順番で置く。
1/3

沢山並べてアドバンテージ差を広げるとともに地上戦力を抑える。
忍術との相性の良さと、単体のスペックの高さから採用。3枚のうちに1枚スペルがあるという条件は、いくらスペルの枚数を濃くしようが外れることがあるため、相手が極端に速いか極端に遅いデッキでなければ、トップデッキの調整を他のカードで行ってヒットを確定させたい。
アド損しない1/3というのはパウパーでは非常に厄介で、ほとんどのデッキに対してはこのカードが出た分だけ勝利が近くなる。
着地してからうまく除去を打たせられればそれだけ後続のSSSや忍者が通りやすくなるので、積極的に狙っていきたい。

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Faerie Duelist / フェアリーの決闘者 (1)(青)
クリーチャー — フェアリー(Faerie) ならず者(Rogue)
瞬速
飛行
フェアリーの決闘者が戦場に出たとき、対戦相手がコントロールしているクリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは-2/-0の修整を受ける。
1/2

瞬速飛行1/2フェアリーというスペックがとても優秀で、SSSの効果の関係で沢山横に並べたいフェアリーの弱点である「全体1点火力」に対して耐性をつけることが目的の採用。
おまけのパワー−2修正も相まって場持ちが良く、それだけでSSSをさらに強くしてくれる。
ウィニーやビートダウン相手に対する、《対抗呪文》以外の2マナ構えの選択肢としての強さもあるが、本領を発揮するのはミラー。あちらのSSSにカウンターされず、こちらのSSSの対応範囲を広げ、《電謀》で捲れないため、着地するとかなりの優位を取れる。
忍者との相性も良く、2/2の相打ちに対して常に睨みを効かせることができる。
手札に大量に抱え込んでも強いクリーチャーではないし、後引きも強くはないため採用枚数には気をつけたい。


課題解決

上記のカードを採用した時点で見えている課題に対し、解決策として採用するものを以下に挙げる。当然ながら出来るだけ軽いカードであることが望ましい。

【ドロースペル】

以下の課題を解決するために採用する。
①占い師の採用により、併せてスペルを多く採用しなければならないが、スペルを増やすためには土地を切り詰めなければならず、ある程度まで土地を伸ばしたいのに伸ばせない場面が起きる可能性が高い。

②フィニッシャーである忍者が優位を取るまでは唱えられないカードであり、手札に複数枚抱えてしまうと相対的に優位を取りに行くカードが減って、ジリ貧になってしまう。

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Ponder / 思案 (青)
ソーサリー
あなたのライブラリーのカードを上から3枚見る。その後それらを望む順番で戻す。あなたはあなたのライブラリーを切り直してもよい。
カードを1枚引く。

他のスペルと比較して一番見れる選択肢が多いため単体でもそこそこ強く、2ターン先までドローが確定してしまうデメリットもデッキ全体でシャッフル手段を多く用意することにより解決できるため採用。

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Brainstorm / 渦まく知識 (青)
インスタント
カードを3枚引き、その後あなたの手札からカードを2枚、あなたのライブラリーの一番上に望む順番で置く。

不要牌をデッキに戻してシャッフルすることができる。
ドロースペルの中でも、他のカードには不可能な「手札にある忍者をデッキに戻し、優位を取ってから引き込める」という動きができるようになるため採用。
単体だとどうしようもないがリターンがとても大きい。


【除去(火力)】

①占い師で止められないスペックを持つクリーチャーや、場に存在するだけで相手に継続的に優位を与え続けるクリーチャーが着地した場合、相打ちやクロック勝負以外の対応方法がなく、優位を取ることが非常に難しくなってしまうため。

②通した忍者に対する回答である「クリーチャーを並べて止める」ことに対し、こちら側の対応方法がほぼないため。
(カウンターで止めることも可能であるが、既に着地しており、占い師で止めていたクリーチャーに対しては後から触れるカードが必要。)

③メインクリーチャーであるSSSのクロックが細いので詰めることによる圧力が弱く、相手の選択肢を狭めることができないため。

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Lightning Bolt / 稲妻 (赤)
インスタント
クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。稲妻はそれに3点のダメージを与える。

もはや説明不要だが、全ての課題に対しての要求事項をほぼ満たすカードの中で、一番軽さと火力のバランスが良いため採用。

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Skred / 雪崩し (赤)
インスタント
クリーチャー1体を対象とする。雪崩しはそれに、あなたがコントロールする氷雪パーマネントの数に等しい点数のダメージを与える。

 《グルマグのアンコウ》等の《稲妻》で対応できないファッティまで対応できるため採用。


【アドバンテージ源】

①ミッドレンジ〜ロングレンジとの対戦で、お互いにリソースを削り合って引き合いになったor消耗してしまった時に強いカードがない。

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Accumulated Knowledge / 蓄積した知識 (1)(青)
インスタント
カードを1枚引き、その後すべての墓地にある名前が《蓄積した知識/Accumulated Knowledge》であるカードの数に等しい枚数のカードを引く。

占い師、各種ドロースペルによって集めやすく、複数枚ドローを達成しやすい。
カンスペを構えていればそのまま打てるため序盤から腐りにくく、後半の引き合いやリソースの回復で大活躍する。

土地の採用枚数

土地は合計20枚とする。
理由は、3~4マナまで伸ばすことができれば徐々にドロースペルで土地を集めながらテンポを取っていくことができるため、その枚数まで伸ばすことを目標として切り詰めているが、伸ばさないといけない状況で伸ばせないことが19枚だと体感で多く感じ、20枚だとそこそこ安定している&アグロ相手に神秘の聖域をサイドアウトすることができるため。

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Snow-Covered Mountain / 冠雪の山
基本氷雪土地 — 山(Mountain)
(赤)

基本的な運用は1枚で十分だが、サイドボードに赤のカードを多く採用していることや、デッキによって赤2マナを構えたい場合が多くあるため2枚採用することが多い。
土地破壊を警戒する際は3枚目以降の採用を検討したい。

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Evolving Wilds / 進化する未開地
土地
(T),進化する未開地を生け贄に捧げる:あなたのライブラリーから基本土地カードを1枚探し、それをタップ状態で戦場に出し、その後あなたのライブラリーを切り直す。

単純な2色化の安定だけではなく、相手の動き(土地の色)を見て大まかに早いデッキか遅いデッキかを見極めてから山、島を選べることが非常に強力。
使う場合はタップインを早めに処理することを考えるだけではなく、動きを見て島か山を選びたいタイミングがあるかどうか、また思案や渦まく知識のシャッフル手段として使用できるタイミングがあるかも考えたい。

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Ash Barrens / 灰のやせ地
土地
(T):(◇)を加える。
基本土地サイクリング(1)((1),このカードを捨てる:あなたのライブラリーから基本土地カードを1枚探し、それを公開してあなたの手札に加える。その後あなたのライブラリーを切り直す。)

未開地と比較した際のメリット、デメリットを明確にした上で採用枚数を詰めたい。
メリット
①サーチした色をすぐに使える→すぐに火力が打てる。
②1マナを相手のエンドまで構えておける。③無色マナとして運用することができる。

デメリット
①キープ基準が低下する。(他に土地がなければキープできない分、相対的に未開地の方がキープしやすい)
②渦まく知識との兼ね合い(未開地なら土地を置いた上で1マナでキャスト→シャッフルができるが、灰のやせ地だと2マナor次アップキープに+1マナ必要。)

総合的に未開地の方が強い印象。前述したとおり、序盤の3~4マナまでの伸びが非常に重要なので、そこまでの道のりが楽であることを強く評価したい。

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Snow-Covered Island / 冠雪の島
基本氷雪土地 — 島(Island)
(青)

前述した土地の採用枚数と土地の合計枚数を考慮し、採用枚数を決定する。


調整枠

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Faerie Seer / フェアリーの予見者 (青)
クリーチャー — フェアリー(Faerie) ウィザード(Wizard)
飛行
フェアリーの予見者が戦場に出たとき、占術2を行う。
1/1

相手によって、忍者を早めに着地させたい、SSSの対応範囲をすぐに広げたい、序盤からクロックを刻みたい等の行動を取りたい場合があり、1マナフェアリーが入っていないとそもそもそのプランを実行できないため採用。
占術2スペルとしてもカウントすることができ、《進化する未開地》《灰のやせ地》と合わせて8枚(占い師もカウントすれば12枚)体制で各ドロースペルを強く打てるようになるのは心強い。
また悪党と違って4枚枠を取られず、サイド候補になり得る。
前述した通り、フェアリーの弱点である《電謀》が当たってしまうが、入れていても1枚なので打ちどころがほぼないため、腐ることの方が多い印象。

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Preordain / 定業 (青)
ソーサリー
占術2を行い、その後カードを1枚引く。(占術2を行うには、あなたのライブラリーの一番上から2枚のカードを見て、そのうちの望む枚数のカードを望む順番であなたのライブラリーの一番下に置き、残りを望む順番で一番上に置く。)

カード間のシナジーで押すデッキのため、要所要所で「この1枚があれば」という場面が多い。また占い師の兼ね合いもありドロースペルは多めに採用したいが、多く採用しすぎても動きが緩慢になってしまうため、対戦を重ねて全体の枚数を見極めたい。
定業はコモンのドロースペルの中で3番目に他の採用カードとのシナジーがあるため採用。(占い師とのシナジー及び占術2によるキーカードへのアクセスのしやすさ)
他のドロースペルとしては、占い師とのシナジーがある《血清の幻視》や、各種カウンターや戦略立てに役立つ《のぞき見》が採用候補か。

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Deprive / 剥奪 (青)(青)
インスタント
この呪文を唱えるための追加コストとして、あなたがコントロールする土地1つをオーナーの手札に戻す。
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。

カンスペの5枚目としての採用を他のカードと比較した場合、土地を戻すことがメリットになるタイミングがあるため採用。
後述する《神秘の聖域》とのコンボで、(マナフラを回避し、有効牌を増やすことで相対的に)アドバンテージを得ることができ、忍者が絡むとほぼゲームセットまで持っていける。
他、自ターンに打って山をセットし直すなど。

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Mystic Sanctuary / 神秘の聖域
土地 — 島(Island)
((T):(青)を加える。)
あなたが他の島(Island)を3つ以上コントロールしていないかぎり、神秘の聖域はタップ状態で戦場に出る。
神秘の聖域がアンタップ状態で戦場に出たとき、あなたの墓地からインスタントかソーサリーであるカード1枚を対象とする。あなたはそれをあなたのライブラリーの一番上に置いてもよい。

序盤の弱さが際立つので、手放しで採用できるカードではない。
墓地回収による状況への対応力や戦略の立てやすさ、前述した剥奪とのコンボで詰みの状況が簡単に作れるため採用。


プレイで意識したいこと その1

①最序盤のランドセットに時間をかけること
ほぼ全てのパウパーの多色デッキは、タップインランドをどのタイミングで使うのか、どのタイミングで何マナ使えるようにするのかなど最序盤から選択していく必要がある。
その中でもURフェアリーは基本的に構えることが多いデッキなので、他のデッキに比べて「自分がしたいこと」よりも「相手がやりたいこと」を意識して土地を並べていかなければならない。
例えば、《対抗呪文》と《稲妻》はどちらも序盤に使いたいor構えておきたいカードであるが、2ターン目までは絶対にどちらか片方しか構えることは出来ないし、3ターン目以降でも多くのタイミングで「青2マナ」を残すのか「赤1マナ」を残すのか(またはそのどちらも残すのか)考えながら、土地をプレイしていく必要がある。
正しく土地を並べ、構えるカードを選ぶためには、1〜2ターン目で相手のデッキの検討をつけ、何をしたら負けないのか、どうしたら有利に持っていくことができるのかを考え、対応方針を決めることが重要。
終盤に悩み始めるのではなく、序盤に1ターンでも早く有利な状況を作るよう悩み抜くこと。
この意識だけで勝率がぐんと上がったし、先に考えている分後半でプレイに悩むような場面に遭遇することがなくなった。

②カウンターをする時はゲーム全体で考えること。
相手の動きに対して、すぐにカウンターを打たずに、以下の点をまず考えること。
1. それに対応できるカードがデッキ内にどれだけあるか
→相手の他の脅威を考慮したとき、カウンターと他の対応札のどちらを残しておいた方が有利か

2. 他に対応できるカードが手札にない場合、どのくらいの確率で引き込むことができるか
→デッキにある対応カードの枚数はどのくらいか
→手札にあるドロースペルの枚数は何枚か(どのくらいデッキにアクセスできるか)

3. それを通すことによってどれだけの被害をこちらが被るか
→対応を引き込むまでに受けるダメージ
→対応を引き込むまでにつくアドバンテージの差

一見マストカウンターに見えても、とにかく一旦他の選択肢を考えるように癖を付けることが大切。

大会結果

1/12 夢屋PPP争奪戦
1R URフェアリー×○○
同型はまずフェアリーの着地を最重要課題とし、それを達成したら次は「フェアリーが場にいる状況で、相手の1マナのスペルに対してSSSをプレイする」ことを意識する。
あとは序盤に土地が伸びたほうが勝つのでお祈り。

2R URデルバー ×〇〇
デルバー、予見者が多数積まれていたので、電謀を上手く当てることを意識。
あとは相手にクロックを詰めさせないようにしながら少しずつ優位を取っていくこと。相手のデッキの構成上捲ることが難しいため。

3R ナヤZoo ○○
全力で火力を温存し、それ以外の方法でクリーチャーを対処する。
できれば占い師に除去を打たせて、しっかりと決闘者+αで討ち取れるような状況を作る。
ロングゲームに持ち込めば相手は捲る手段がなく、こちらはAkでアドバンテージを得ることができるため有利になる。

4R WU/bコントロール ○×-
Akを採用していたり、除外、空漁師、軽騎兵などを採用しているため、相手が消耗することはほぼないのでロングゲームは不利。
早い段階からドロースペル等にSSSを当てたり、予見者や忍者を押し付けながらクロックを詰めることを意識。

3-0-1で優勝。


次→サイドボード、各アーキタイプへの対応方針、意識したいことその2(更新未定)




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