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クマとクルマのメリット

釣り人がヒグマに襲われた事件で、世間一般の声としては、クマは怖くて危険だ、中には、この狭い島国でクマと人間が共存できるわけ無いから駆除(絶滅に向けて)もやむなし、という意見もあると思います。で、僕はクマに関してはいた方が良いと思っていて、それは動物愛護という観点よりも、クマがいる方が人間生活にとってもメリットがあると思うからです。クマに限らず、自然保護というのは、人間のためにするべきである、と、思っています。

どういうことかというと、例えばクマがいることにより、森の樹間は適切に保たれる、すると森の保水力が増して洪水や、逆に渇水が無くなる。生態系が適切に保たれることで、里に、シカなどの草食獣が出てきて荒らすことが減る。というように、クマがいることのメリットがあると確信していますが、でも、これは分かりにくいものです。生態系というのは、どこでどうつながっているか、分からない。どこかを取れば、バランスが崩れる。崩れてもその隙間を埋める役割もありますが、それでも限度があります。

例えば、田舎ではシカとかイノシシの被害は多くて、それは年間で100億円とかいう規模になります。シカとかイノシシが増えた一因には、オオカミが絶滅したことがあるんですが、もしオオカミが現在もいたら、やっぱりクマのように、人間に対する被害が出ていると思うんですよ。で、オオカミなど絶滅させてしまえ、という意見も出てくる。その世界線では、オオカミがいなかったことによる弊害が分からないからです。

何事もそうだといえばそれまでですが、無くなってみないと、その価値が分からないこともある。特に自然物は繋がりあっているが故に、分かりにくい。この植物は役に立たないよねとか、そういうものは、無いと思う。で、自然というシステムの中で人間も生きるしか無いんです。別にスピ的な話でもなんでもなく、人間は水と空気と食物がなければ生きられなくて、それらは自然界から供給されるという、当たり前のことです。だから、その母体たる環境は保護しなきゃいけない。田んぼも、漁業も、森からの水で成り立つわけです。

でも、そういう、風が吹けば桶屋が儲かる的な話は、分かりにくい。だから、クマは怖い、危険だ、というだけになるんです。でも、危険だというなら、クマより自動車の方が危険でしょう。でも、自動車事故で人が死んでも、自動車なんて全て廃止してしまえという声が出ないのは(出てもメジャーにならないのは)、自動車のメリットが明らかに分かりやすいからです。自動車に比べて、クマのメリットは、分かりにくい。だから殺してしまえ、という話になる。

ちなみに、今回の事件はヒグマであって、本州のツキノワグマとは全く違います。ツキノワグマは小型ですから、ヒグマほど危険では無い。自動車事故が起きた時に、電車も危ないよね、というぐらい違う話です。僕としては、今回の話で、クマの駆除が進まないことを願っています。はい。またあした。

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