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寂しい。マスク製造終了。

 以前いた会社で、パーティーグッズを扱っていました。
 オガワスタジオのラバーマスクは、その売場が一目でパーティーグッズのコーナーとわかるアイキャッチャーになるし、売上も高い、玩具店には欠かす事のできない主力商品。
 
 話題になった人に似せて、すぐに商品化してくるフットワークの軽いメーカーさんで、特に、明石家さんま風の『出っ歯くん』やタモリ風の『タレメガネ』は、物まね芸人や本人がテレビで使ってくれて爆発的にヒットしました。

 宴会芸といえばラバーマスク、被るだけでそれなりに受ける、宴会の定番アイテムでした。

⭐⭐⭐
 
 当時、ある政治家が黒人を差別する発言で黒人差別問題に火が付いて、その店のあった地域の人権団体がショッピングセンターを通じて商品クレームをつけてきました。

 絵本の『ちびくろサンボ』が、アカン!と。

 そのSCのテナントマネージャーが、当時、ヒットしていた槍や腰ミノを着けた褐色のぬいぐるみ(間の悪いことに商品名を『サンボ』と言いました)を、売場から外して欲しいと言ってきました。
 他に、マイケルジャクソン風のマスクも外せと。

 『サンボは、アフリカというよりは南洋の民族衣裳風やし、ラバーマスクは、レーガン大統領風とかはあるのに、色が黒やからってそのキャラだけ外すのは、逆にどやねん?
 小錦風は?ちょんまげあるけど?


と反論したのですが、絵にかいたような事なかれ主義のマネージャーの『しばらくの間で…』の言葉に、渋々。
 マネージャーの言っていた通り、正義を振りかざしたクレームは、その人権団体の、時の話題に乗った一時的な『私たちは活動している!』パフォーマンスでしかなく、マイケルジャクソン風マスクは1ヶ月ほどして売場に戻しても何事もなかったように売れ筋で、たぶんその年末あたり、そのマスクを被ってのムーンウォークは、日本のいたるところで演じられていたと思います。

 ぬいくるみ『サンボ』の方は、さすがに商品名が仇だったようで、メーカーにまでクレームが入り日本では売られなくなりました。
 (その何年か後、『サンボ』は海を越えて、東南アジアのリゾートの土産コーナーに並んでいたそうです)

⭐⭐⭐

 オガワスタジオ事業撤退の理由は、コロナ禍の宴会激減、ハロウィーン自粛等が主な原因のようです。

おーっ金色や!これ売れるで!

 隠れた売れ筋『大仏くん』に、黄金バージョンが加わった時の感動は、今も忘れません。

 コロナ禍で、ボクの生きていた時代がまた一つ終わってしまいました。

 寂しい限りです。
 

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