前世紀の名残り(措置制度の後遺症)
先日、ツイッターを眺めていたら、介護福祉施設で働いておられる方の、コロナ禍の面会不可状態の中、いちいちうるさくエラそうに言ってくる利用者さんの家族に対して、
「どうぞ、連れて帰っていただいて、ご家族でみてあげてください」
って、言ってやりたい!
お前たちができないから、やってやってるのに!
という主旨のツィートが。
RT、いいね、がいっぱいついて、働いている側の本音、けっこう支持されていました。
☆☆☆
『やってあげている』
かつての措置制度の名残なのかもしれません。
介護士不足、過酷な労働環境を反映して、こんな本音がホイホイ出てくるのでしょう。
2000年4月に始まった介護保険制度で、それまでの措置制度から保険を適用した介護サービスへ移行されました。
これを宿屋に例えたら
『行くとこ無い? しゃーないな泊めてやる』
避難所スタイルだった宿泊所が、突然
『お客様に合ったサービスをご用意しております。どうぞお越しくださいませ』
旅館に変身したようなもの。
『介護保険』は、公がやっているとはいえ保険事業なので、基本は加入者が支払ってきた保険金で成り立っていて、本来、保険金を受け取る主は加入者、そのお金で介護のサービスを得ているのです。
それまでの『お上からの施し』を受ける措置スタイルとは大違い。
保険料に税金が使われているとはいえ、それとて、税金は国民が支払ったものです。
この大きな変化は20年前、前世紀の出来事です。
⭐⭐⭐
障害者においても、2003年、行政がサービス内容を決めていた措置制度から支援費制度へ。
利用内容は自己決定を基本として決まる形となりました。
『養護学校』が『支援学校』に、『指導員』が『支援員』に名前を変えていった頃です。
福祉制度は大きく変わったとはいえ、そこで働いている人が入れ替わるはずもなく、大きな変化についていけない人が、今でも数多くいます。
福祉生活25年 !
50歳前後で、現在福祉施設で管理者などの重要なポストの方も多く、前世紀の『施しの福祉』のまま、残念な施設がまだまだ残っています。
前世紀からは働いてないけれど
キャリア10年以上だ、どうだ すごいだろ!
でも、狭い環境での10年、仕事を始めた当時教えてくれた先輩達がバリバリの『施しの福祉』で、それしか知らない残念な職員もいるようです。
よくニュースに現れる障害者施設での虐待は、そんな残念な職員に宿っている
『面倒みてやってるんやぞ』
という驕りの仕業かもしれません。
⭐⭐⭐
ボクは、福祉に関しては『キャリアが長い』を、単純にプラスと考えないようにしています。
経験者の『ハズレ』が結構あります。
昨今、団塊の世代の方が高齢者になってきて、福祉サービスに様々な形態が生まれてきています。
この先、他業種参入等で需給バランスが整ってきた時、たとえ支援技術は熟練な方でも、加えて接客サービスが重要なスキルになってくることでしょう。
介護保険給付のお金の流れを変えてみてはどうでしょうか。
現在、介護保険の保険者は市町村で、介護認定の度合いによって支給する相手は保険加入者です。
おおよそ、保険加入者が利用する施設を申請する形で、施設の利用料の9割が、保険から施設の方にほぼ直接的に引き落としなどで支払われる形になっています。
そして、大抵の方が、限度額いっぱい使えるように、施設のケアマネージャーに使い方を割りふりしてもらっています。
で、ボクの提案です。
家族による介護も、介護保険の支給対象になれば、例えば先のツィッター主に対して
「介護保険から、あんたとこの施設に入ってる金が こっちにくるんなら、こんな施設預けんでも アタシら家族が、仕事として、ちゃんと介護するわ!」
なんてケースは、きっと多いはずです。
「赤の他人の介護サービスなんて利用したくない」
「家族なんだから 介護してあげたいけれど収入が…」
きっと、たくさんおられます。
そんな風になれば、我が家族の介護の経験から、新たに介護福祉士を目指す方も 増えるかもしれません。
加入者の状態に応じた金額を支給するだけなら、保険外とされている犬の散歩など、支援実務のボーダーについて、とやかく言うことも無くなります。
支給金がちゃんと本人の介護に使われているか?
本人の状態に見合った介護サービスの選択ができるか?
問題も出てくるでしょうが、支給に限度額のある保険で限度額いっぱい使おうとする方が ほとんどの現状ですから、修理費用に応じて支払う車両保険風でなく、診断された時にポンと支払われるガン保険風、の方が良いのではないかと、先のツィッターを見てそんなことを考えた次第です。
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