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カトウマキ個展「雑草の住処」で、気づいたことなどなど。

はじめに

 この春、静岡県牧之原市にあるカフェとギャラリーを運営されているgoat coffeeさんで、カトウマキ個展「雑草の住処」を開催しました。ご来場くださった皆様、気にかけて下さった皆様、有難うございました!
今日はこの個展で気づいたことなどを書いていきますので、是非読んでくださると幸いです。


作品への気づき① “私がこれからも作りたいもの”

 この作品は、2019年にフェルケール博物館で発表し、今回は新作を加え展示をしました。制作をはじめたのは2018年頃、現代アートを学びに東京に通っていた際に、先生や仲間に多々意見をもらいながら、自分の感じていたものを作品に落とし込んでいったものです。当時、仲間の一人から私の試作品を見て、「みどりのゆび」という本を思わせると感想をもらったことがありました。「みどりのゆび」を読んでみたいなと思いつつ、なかなか読めてなかったため、搬入後に少し時間も出来、読んでみることに。読み終わった感想は、自分にすごくしっくりきたんですね。そしてこの本以外にも、世界で起きているニュースを見たり、色んな人が話す情報を聞くようになり、今までより強く、これからも私の目や指を通して雑草を描き続けていこうと思うようになりました。(どうしてこの思いに至ったかは、今後の作品に込めていきたい部分なので、ここでは控えますね。ただ、少しだけ補足させてください。)なぜ、わざわざ“私の目や指を通して”と言うかというと、私は描くときに、生きている雑草を見て描くわけですが、その時に雑草が私を見透かしているように感じるんですね。それは、何も嫌ではなくて、むしろ心地いいのです。安心感があるといいますか…。こういう感覚を持つ私だからこそ、私が雑草を描くことの意味があるんじゃないかと思ったわけです。
 そして、ふと思い出すことは、2021年12月にアーツカウンシルしずおかが主催するマイクロアートワーケーションで焼津の旅をし、その時に出会ったアーティストの冬木遼太郎さんの私への言葉。

「(雑草は)もともとは無価値とされているものであるが、それを描くことで、価値ある美しさを持っていると表明している。」

マイクロアートワーケーション 冬木遼太郎さんのnoteより

冬木さんには、私のやりたいことがこの時すでに分かっていたのだろうか?だとすると、冬木さんはやはり凄いなと思いつつ、この言葉を思い出すと、より一層これからも描き続けていきたいなと思うのです。


作品への気づき② “空間演出について安易に考えてしまった”

 今回の個展では、はじめて「香り」と「音」、そして鑑賞者を誘導する「サイン」を加えました。「香り」と「音」は、展示空間と合っていたと思いますが、「サイン」について、見に来て下さった方数名から、厳しいご意見を頂きました。方向性としては良かったと思うのですが、演出的にしっかり考えられていたかと言われると、安易に決めてしまっていたのです。これには、とても反省しましたし、そこに気づけなかった自分がとても恥ずかしく情けなくなりました。でも、この反省をこれから必ず活かしていきます。ご指摘くださった皆様、有難うございました!
(逆に、「サイン」も良かったと言って下さった方もおられました。そう考えると色んな方向から考えられ、やはり多方向から考える視点を持つことは大切なんだと改めて気づきました。)

嬉しかったこと①“トークイベントも無事に開催できました!”

 今回、個展でははじめてのトークイベンを開催しました。ゲストにUNMANNED無人駅の芸術祭/大井川2022を主催するクロスメディアしまださんから兒玉絵美さんをお迎えし、身近なアートについて話しました。この無人駅の芸術祭は、私の大好きな芸術祭で、鑑賞者としても楽しませていただいていて、作家としても2回展示させていただきました。その主催の兒玉さんが来てくださり、すごく嬉しかったです!当日は予想外のこともありましたが、予約も満席となり、晴天にも恵まれ、お客さんの感想も良くて、開催してほんと良かったなと思いました。こうして、生でアートについて語り合うっていいですね。もっと気軽に色んな場所で開催出来ればいいなと思います。

嬉しかったこと②“たくさんの方にご来場いただきました!”

(ここから少しずつ、くだけていきます。笑)
 牧之原市にあるgoat coffeeさんは、目の前は田んぼで、雑草も多くて、近くには川も流れ、土手には桜の木が並び、すごく癒される、とてもいい場所なんですね。でも、こう述べて分かる方もおられると思いますが、交通の便は良いとはいえない場所です。なので、この場所で個展を開かせていただいても、おそらく来てくださる方はそれほど多くないであろうと思っていたわけです。
 でも、蓋を開けると、いやぁびっくりました。笑 こんなに遠い場所で(←goat coffeeさん、失礼な言い方をごめんなさい!)、かつ、芸術祭などのように多くの作家が展示しているわけでもないのに、これほど多くの方に来ていただけると思ってもみませんでした。本当に、お越しくださった皆様、有難うございました!!純粋に私自身のこれからの活動の活力になります!
(あと、12月にマイクロアートワーケーションで出会った焼津市の方々も、早速来て下さったんですよね。それも、本当に嬉しかったです。人と出会うっていいなぁと思いますね。)

自分への気づき①“私はただの『変わり者』ではなかった”

 これだけ大勢の方がお越しくださってくれたため、久しぶりに会う友達も多かったです。年単位で会えてない友達にも会えて、それもまた特別な時間でした。そして、友達と話していると、「(私のとある行動が)マキちゃんぽいなと思った。」 とか 「マキちゃんのそういうところ(考え)を大事にしてあげなきゃって思う」と言われたり、goat coffeeのマスターからは、「(私の作品から)狂気を感じる」と言われたり・・・これを聞いて思ったことは、私って他の人と比べたら変わってるなとは思ってたけど、ただの『変わり者』ではなかったんだ『超変わり者』だったんだと…気づいてしまったのです。びっくりしましたね。笑 こう見えて普通に社会人を15年以上経験し、それなりに一般社会でもやっていたので笑、それでもアーティストになるくらいだから『変わり者』ではあるなと感じてはいたのですが、自分の想像以上に変わっていたようです。笑

嬉しかったこと③“仲間の存在”

 ただ、それと同時に気づいたことたが、こんな『超変わり者』を受け入れてくれる仲間が、私にはいるんですよね。これが、本当に嬉しかった。私のこの変わった部分を受け入れてくれてるんだなと、みんなの優しさや愛を感じました。もう、ありがたくて仕方ないです!有難うございます!!

嬉しかったこと④“goat coffeeさんと家族からの支え”

 今回の個展は、goat coffeeマスターの村松さんから声をかけていただき、実現しました。村松さんは、私の作品を気に入ってくれ(というか、面白がってくれるという感じでしょうか) 私が「イベントをやりたい」とか、「こんな風に展示したい」と話しても、ほぼ全てを快諾してくださり、それ以上に村松さんから、「(展示室入り口に)ライト買ってみました」とか「釣り糸にしてみました」(吊り下げる作品をテグスで展示していたのですが、見栄えが少し悪く釣り糸をご用意して下さったんですよ)とか、すごく柔軟対応!村松さんから、ただただ良い展示にしたいという気持ちが伝わってきて、こちらもすごく嬉しかったです。村松さんは作家を尊重してくださり、こうして一緒に仕事ができて光栄でした!次の機会があればいいなと願いつつ、またカフェや鑑賞目的で遊びに行きたいなと思います。村松さん、有難うございました!!
 そして、家族からもかなり支えてもらいました。個展間際になると、制作以外はほぼ何もできなくなるんですよね。苦笑 それを十分に理解してくれて、搬入搬出やイベントの手伝いもしてくれて、アドバイスもくれて…。アーティストというものをよく理解し、応援してくれます。日々の仕事で疲れていると思うのに、こうして支えてくれるのは、めちゃくちゃ有難いです。だから、家族のこの気持ちにも、これからちゃんと応えて行きたいなと思います。

最後に

 他にも、細かいところでもたくさん感じたことがあり、全てほんと良い経験をさせていただいたと感謝しております!
 また来場数が多かったと話しましたが、やはり遠いなどの理由で来られなかった方もおられました。でも、こうして気にかけて下さり、嬉しかったです。有難うございます!またの機会にお会いできれば嬉しいです。
 これからも、活動を頑張っていきます!皆様、どうぞよろしくお願いいたします!
 (今回ここではあえて、展示内容の直接的な感想等は、書くことを控えさせていただきました。最後まで読んでいただき、有難うございました!)


個展の概要

・個展期間 
 2022/ 4/ 3(日)〜 4/17(日)

・タイトル
 「雑草の住処」

・展示コンセプト
  私は、空き家や使われなくなった自転車•車などに生える雑草を見ると、二つの思いに駆られます。
  その場所や物は、かつて人が使っていたもの。そこに雑草はみるみるうちに成長して、そのものを覆っていきます。その光景は、私にとって人が便利を求めている生活を止めているように見えたのです。
 そしてもう一つ。私は数年前から、人の無関心を感じています。空き家などそういった場所は、人の想いが薄くなっている。つまりは、人の無関心な場所ともいえます。人の無関心な場所に、雑草は生息しているように見えたのです。
  便利ばかりを求める私たち、無関心でいる私たちにも、雑草は生えているのではないかと感じ、制作しました。
 今回は2019年にフェルケール博物館で発表した「日々の私」に加え、私個人だけでなく他の方の手も描きました。

・goat coffeeさんの情報
 HP:

 Instagram:@goat_gallery_
 (私のカフェのおすすめは、ラッシーです。癖になる味ですよ!)


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