僕の新型コロナ後遺症の今

新型コロナに感染して1年が経ちました。

その後遺症と思われる症状により、最初の2ヶ月ほどは強烈な倦怠感とブレインフォグによってトイレ以外で寝床から立ち上がることができないほどの状況でした。

味覚もおかしくなり、主食に近いラーメンが食べられないほどに。原因は小麦なのか、かんすいなのか、煮干なのか豚骨なのか、それらのどれでもないのかわかりませんが、どんな味のラーメンでも、口にしても美味しいと感じないどころか「食べられない」状態。他のどんなことよりも絶望してしまいました。

なので、野菜と肉と米を、味を感じないまま強制的に「摂取」させ、生き延びました。あ、カップうどんは食べられていましたわ、そう言えば。

が、今年の春ごろから徐々に味覚は戻り、今では元気にラーメン屋さん巡りができるようになりました。

しかし。

恐ろしいのは、「倦怠感」、「常に頭の中に霧がかかったような状態(ブレインフォグ)」、「午後から襲ってくる強烈な頭痛」、「異様なふらつき」、「記憶や思考がブチブチと切られたような状態」、「毎日トレーニングしても戻らない滑舌」など、コロナ罹患前と大きく異なる「症状」は、いずれも自分が訴えているだけで「検査」では原因が見つからない、ということです。つまり、仮病、詐病、と思われてもいたしかたないわけです。

しかも「新型コロナ後遺症」は病気として認められておらず、なんの補償もありませんでしたから、昨年10月頃から無理矢理起き上がって仕事に行くようになりました。

と同時に、さまざまな医療機関に相談に行き、検査も受けましたが、やはり客観的には脳も体も心も「異常なし」。もっとも心療内科では、症状が「うつ病」に似ている、ということでお薬を出していただくことはできましたが、効果があったとは思えていません。

幸いなことに、仕事は教育関係のみなさまとのもので、同僚の先生に同様の症状で苦しんでいらっしゃる方もいらっしゃいましたので、この症状への理解もあり、フラフラしながらもなんとか日常を過ごしてきました。

並行して、コロナ後遺症を学んでいる鍼灸師の方と出会い、試行錯誤を繰り返しながら週に1回程度の治療と、自宅でのお灸を始めました。

西洋医学に頼れない、となったとき、東洋医学に一縷の望みを託すしかありませんでした。

ところが、何年も後遺症が続いている、という人もいる中、私の場合は徐々に倦怠感は落ち着いていきました。お灸の効果は、あるのだと思います。

しかし「ふらつき」によって、自宅で柱の角に頭をぶつけて3針縫うほどの怪我を負ったり、自転車に乗って信号待ちをしているときになにもしていないのに転んでしまったり、ということも起きました。

1年経った61歳の今、「更年期障害もあるのでは」というアドバイスもいただきましたが、検査の結果は「異常なし」。

この状態はもはや「完治」はないのだな、と理解し、これが新しい自分なのだ、と受け止め、かつての自分の姿に戻ることを目標とせず少しでも改善に向かう努力は続けつつ、ともに生きることにしよう、と決めました。

劇団時代の私を知る方々からすると「滑舌の悪い加藤昌史」は想像もつかないかと思いますが、人間、こんなことになることもある、ということです。

流暢に話すことよりも説得力があることをゆっくり話す、という方向にシフトしてこれからの人生を過ごしていこうと思います。


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