なにかあったよ!
登園したはずの娘が、朝、夫と家に戻ってきた。
お腹が痛くなってしまったらしい。
娘は病み上がり。
土曜の夜に嘔吐して、日曜外来にかかり、どうやらウイルス性の胃腸炎かも、とのことだった。
まあ、薬ださなくてもこのまま治ると思うけど、一応整腸剤出しとくね、くらいの診断だった。
園から帰ってすぐに、娘はせっせとぬりえの準備を始めた。
1,2歳に比べたら、在宅での保育ラクかも、なんて思った。もう4歳。話は通じる。
私も緩やかに在宅勤務開始。
今日は朝からまあまあ大事な会議がある。
「お母さん、会社の人とお話するから、しばらく静かにしててね」
「わかった!」
うん、問題なく仕事できそう。
が、会議が始まる直前、私は急に不安になった。
あれ?これだけ聞き分けがいいと、娘、身体が辛くなったときにも、私に声かけるの我慢してしまうのでは?
慌てて娘に言った。
「何かあったら、声かけてね!」
そして、私はヘッドフォンをつけてオンライン会議に参加。娘は大きく頷いてた。
すぐに始まった会議、議題は進む。
あ、ここは注意して聞きたいところ。
…と、そのとき、娘がぬりえを持ってやってきた。
にこにこで、開いたページを私に向けてる。
小声で「かんせい!」と嬉しそうに言う。
声は出さずに、笑顔を作って何度も頷く私。
娘はずっと同じ体勢。
…待ってる、母のコメントを。
マイクがミュートになっていることを確認して、私は慌てて言う。
「きれい!エルサのドレスかわいく塗れてる!」
娘は満足げに頷いて、ぬりえはおしまいにして、次はLaQやるね、と言って戻っていった。
間違えた、と思った。
「何かあったら」なんて慌てて言ってしまった。娘は「何かあった」から、「ぬりえ完成した」から、報告にきた。
娘は何も間違ってない。
こんなとこで娘の信用失いたくない。「静かにして!」なんて言いたくない。
さて、そこから怒涛のLaQ作品発表会が始まる。
しかも、私はこの発表会でも初手を誤った。
一つ目の作品を持ってきた頃、ちょうど議題は、私にはあまり関係のないところだった。だから真剣に作品を褒めてしまった。
と言うか、実際素晴らしい出来だった(親バカ)
この前動物園で見た、シロクマの夫婦をそれは見事に再現させてた。
で、1作目にこの調子だから、当然2作目以降も、娘は同じ熱量のコメントを待つ。
結局、会議の合間合間に、娘の作品の講評みたいなことして、神経が衰弱しそうなくらい疲れた。
午前中でもうヘトヘト。
会議が終わって、やっと娘にちゃんと説明した。
…まあでも、午前中このペースだったわけだから、午後も普通に「おかあさん、みて!」が続く。
「何かあったら」なんて使っちゃいけなかった。
だって1日は「何か」だらけ。
大人になると「何か」を全然カウントしなくなるから、そんなこと気付かなかった。
「何かあったら言って」って言われても、よほどのことがない限り、大人は何も言わない。
ぬりえが塗れたよ!
シロクマ作ったよ!
新幹線作ったよ!
お花もできたよ!
仕事机の上は、LaQ作品でいっぱいになった。
毎日、起きてる限り何かある。
いや、寝てても「おかあさん、今日きゅうしょくの夢みたよ、おかあさんが、食べすぎちゃだめっていったから、夢みたんだよ。」なんて言って笑ってる。
24時間何かある。
楽しい「何か」はいいね。
なんで懸念事項ばっかり「何か」に数えようとしてたかな。
ちゃんと楽しい「何か」もカウントしたほうがいい。
娘の何かをたくさん報告してもらった1日。
あー。でも、明日は保育園行けるといいなー!
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