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小編吹奏楽のための【コンサート】ピースはありますか?

 「小編吹奏楽のための【コンサート】ピースはありますか?」
 最近、特に多い問合せが、こちらです。各出版社から小編成対応の楽譜はたくさん出ているものの、その多くは【コンクール】ピースです。魅力的な作品も増えましたが、いざ【演奏会用】の選曲としようとすると、意外にも選択肢が多くないことに気付くのだとか。長すぎず華やかなオープニング作品、箸休めとなるコラール作品、カバーではないポップス作品、マーチ...少人数で苦労なく演奏できるものは、まだまだ少ないようです。

 最近はフレキシブル編成の楽譜も増えていて、これを上手く活用している学校・団体も見受けられます。ある程度の人数が揃えば、編成に偏りがあっても演奏できる、魔法のような楽譜です。賛否両論ありますが、これを上手く活用しない手はないです。

 しかし、自由度が高いが故に、適切なパートの割り振りをするのが非常に難しい。音域順に割り振ったところで、なんとも歪な響きになる。結局、指導者の音楽的素養に大きく左右されてしまう。指導者・演奏家としてはスペシャリストであっても、フレキシブル楽譜のパート割り振りには、作編曲に近いまた別の能力が必要になります。

 そこで、自由度を少し下げることにより、従来よりパートの割り振りがしやすい、新しいフレキシブル編成の提案です。管楽器+コントラバスを、強奏時の音量や機動性により、大きく2郡に分け、その中で音域順にパートの割り振りをします。

・A群 1st~4th 「木管楽器・ユーフォニアム」 ※1stはFl.のみ対応(optional part)
・B群 5th~8th 「金管楽器・サックス・コントラバス」

 ユーフォニアムとサックスは、その特性によりA群B群どちらも入られるので、木管が少ないバンドではA群に、金管が少ないバンドではB群に入れます。A群B群の両方に含むことも可能です。

 例を挙げます。

◎比較的編成が整っている、16人編成の場合
(各楽器1~2名ずつ)

1st(最高音) Fl. Fl.
2nd(高音) Cl. Asx.
3rd(高音) Cl. Asx.
4th(中低音) Bs.Cl. Euph.

5th(高音) Tp.
6th(中音) Hn.  Tsx.
7th(中低音) Tbn.
8th(低音) Tuba Bsx.

Perc. 2人

◎通常の楽譜ではバランスを取るのが難しい、10人編成
(Fl. Tp. Hn. Euph.がいない)

1st(最高音) Fl.がいないため、無し
2nd(高音) Cl. Ob.
3rd(高音) Cl. Cl.
4th(中低音) Bs.Cl.

5th(高音) Asx.
6th(中音) Tsx.
7th(中低音) Tb.
8th(低音) Tuba

Perc. 1人

 以上のように、まずA群B群の人数比が概ね1:1~3:2になるように分け、あとは音域順に並べることで、適切なパートの割り振りが可能になります。

 その、新しいフレキシブル編成で書いた作品がこちらです!

 加えてもう一つ、フレキシブル楽譜の問題として「作曲家の想定した響きを想像しにくい」ことが挙げられます。ここも解消する方法を考えていて、現状は、「フレキシブルではないオリジナル編成のために作曲→後からフレキシブル版に編曲」とし、その両編成の楽譜を残す、という形を取っています。↑こちらの演奏も、オリジナル編成のものです。

オリジナル版の楽譜

フレキシブル版の楽譜(実演される場合は、基本的にはフレキシブル版をオススメします。こちらは、フレキシブル版のスコア・各楽器用の移調済みパート譜に加えて、参考資料としてオリジナル版のスコアもついてきます。)

 ・・・もうお気づきですね。そうです。新しい楽譜の宣伝です。笑

 この4月から、管打楽器ユニット「Wind Works」さんのために、毎月1曲新曲を書き下ろしています!!! コンクールピースに限らず、様々な楽曲を書いているので、ぜひWind Worksさんのチャンネルも登録をして、新曲チェックをお願いします✨ 毎月1日公開予定です!

 オリジナル版の楽譜付き動画は、僕の個人チャンネルにあげています!スコア、全ページ!公開しています↓(縦画面推奨)

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 毎月新曲初演シリーズ、4月の楽曲は「Restart」です。音楽好きなすべての人々に向けた、困難から抜け出し再始動しようとする強い意志を表現した楽曲です。

 昨今の社会情勢によって音楽活動が制限される中で、無力感や挫折感を感じることも少なくありませんでした。やっと少しずつ演奏の機会が戻ってきたこのタイミングで、もう一度気を引き締めて、精力的に活動して行きたいという願いを込めて作曲しました。

 演奏を聴いていただく皆さんの中にも、4月から環境が変わり、新生活が始まった方もいるのではないでしょうか。また、環境が変わらない人の中にも、気持ち新たに再スタートを切る人もいらっしゃると思います。音楽の力で、そんな人たちの背中も優しくそっと押せたら、これほど幸せなことはありません。

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 ここだけの話、5月はsoloソプラノサックス+吹奏楽、6月は和風の作品、7月はマーチ、8月はアレンジではないポップス作品を公開予定です!

 このフレキシブル楽譜がどの程度現場で使えるものなのか、よくよく練ったつもりではありますが、書いた本人も正直未知数です。演奏される際は、ぜひご連絡ください! 演奏会に限らず、音出しだけでも、関東圏でしたら飛んで行きたいです!

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