JDSC (旧:日本データサイエンス研究所) 社名変更

新: 株式会社JDSC (英語は Japan Data Science Consortium) に変更した。
旧: 株式会社日本データサイエンス研究所

画像1

旧社名

元々の社名の由来は、2013年に設立した一般社団法人日本データサイエンス研究所を踏襲したものだった。当時はAIやビッグデータが魔法のように思われ、誤解が多々あった (まあ今もだが)。こうした誤解を払拭し、産業を担う人々の基礎リテラシーを高めたいと思い、研究所という株式会社に似つかわしくない名前をつけていた。

株式会社には似つかわしくない名前だが、良かった点もあった。1つ目は創業時期の採用。旧社名は、いかにもデータサイエンスが研究できそうな名前だった。その正確な因果関係は推定できないが、データサイエンティストの応募や、機械学習、ML Opsに関心の高いエンジニアの応募が多く、綺羅星のようなスター人材が採用できた。先日のKaggleの記事を書いてくれたメンバー達もそうだ。入社後も、学び続けるカルチャーが創業時から作れたのは幸運だった。

2つ目は、大学との協調が思った以上にトントン拍子に進んだこと。情報学環、工学系研究科の先生方との協業が主だが、共著国際学会論文4本、特許も3件の出願ができ、単に顧問として名前をお借りするのではなく、共同でアカデミアとして価値のある研究ができたように思う。

3つ目は社会課題の真ん中を解決しにいく研究活動が根付いたこと。https://jdsc.ai/news/366/  でリリースしたが、私達は要介護につながる身体機能の衰えを、電力消費データとAIによって特定する実証研究を三重県でやっている。こうした営利活動に繋がりにくい取り組みでも、積極的に行っていく研究マインドが組織に根付いたことも良かったと思う。

企業文化や実績について初速がついたところで、より会社の将来を率直に示すものに社名を変更した。実態として社員やパートナー企業も「JDSC」と呼んできたので今更でもあるのだが、改めて新社名はJDSCで、これはJapan Data Science Consortiumの頭文字をとったものだ。概念を順に説明する。

Japan

これは、JDSCが日本の産業についての活動を目的とするためだ。今、日本は歴史的な転換点にある。少子高齢化の進展や、諸外国の伸長、それに対して低い生産性を温存する体制の維持が困難になってきたことに起因するものだ。日本の産業もまた多くが変革の時期にある。

ミクロレベルでの企業活動を見れば、成長時期が終わり新しい成長の種が見つけられていない、BSには余裕があるがPLが悪化している、国際化をサプライチェーンの海外化と先進国への商品提供以外の文脈で捉えられない、キャピタル経済の活用ができていない、経営の近代化に遅れている、デジタル化も遅れているがデジタル人材も足りない、社員教育に投資できない、平均ROIが米国の半分程度など疲弊が見えてくる。これらは企業固有のユニーク課題ではなく、日本の多くの産業が共通して持っている一般課題だ。

こうした課題に真正面から立ち向かい、日本の企業の旧来の常識を覆すこと。価値を生み出す方法を革新することがJDSCの主眼だ。

Data Science

Data Scienceの力を私達は多用している。機械学習のアプローチは、従来の統計的アプローチと異なり、人間が考えることを代替できる。統計学は、単に平均や分散・相関といったデータの特徴を人が認識したり、予想することを助けるための学問だ。一方で機械学習はモデルにデータを渡してあとは機械が学習する(だからMachine Learningと呼ぶ)もので、要素技術として全く違う。

私達も統計アプローチを使うことは多々あるが、統計では多様なデータの平均的特徴しか分からない。大雑把な特徴だけを取り出し、残りを捨象してしまっていると言い換えることもできる。機械学習は少数派のデータの特徴も残したまま計算ができる。少数派の特徴は、数は少なくても種類がとても多い。その結果機械学習のほうが桁違いに高度で複雑な、人と同じ、もしくはそれを超える判断を行うことができている。

こうしたアプローチは社会実装の歴史が浅いため、才能のあるメンバーさえいれば、私達のようなスタートアップであっても従来の常識を覆す成果を出せる。

Consortium

コンソーシアムと名付けているのは、同じ悩みを持つ複数の企業が集まることで、より生産的な活動ができるためだ。機械学習の領域では、これが極めて顕著だ。一般的に、データ量が増えるほど、機械学習アルゴリズムの改善がより容易になるためだ。

例えば私達は宅配便の不在配送を減らす活動を行っている。ここでも同じような悩みを持つ物流企業が互いに協力することで、ドライバーの高齢化と人手不足、eコマースへの伸長への対応、CO2削減への取り組みといった産業共通の課題をより容易に解決することができる。同じ不在データ、電力データ、地図データ、交通データから最適化アルゴリズムが作られるためだ。

東大と深い連携をしているのも、こうした公益性によるところが大きい。先述の通り、私達は機械学習だけを扱うわけではないのだが、データ数が増えることによるアルゴリズムの改善と、産業全体への普及は、JDSCの生業の中心的なものの一つであることは間違いない。

終わりに

私がコンサル出身であるためか、「JDSCはコンサルなのか?」と聞かれることがあるが、違う。1社だけを相手にするコンサルと、産業課題全体を解決する取り組みは本質的に目的が違う。もちろん、産業は一つ一つの会社が構成するものである以上、両者は無関係ではない。むしろ私自身、コンサルティングファームに勤めていた時以上に、個別の企業のEBITAや組織改革のシナリオには敏感になった。ただ、JDSCは産業全体が旧来の常識や低い生産性が長く続いた時代を克服し、新しい価値づくりができるよう変革することを目的としている。

こうした業態を何と名付けてよいか、既存のカテゴリ分類が思いつかない。大学のように学問的真理を探求している訳でもない。行政でもなく、紛れもなく営利企業だ。曰く、21世紀のデータの商社のようなものであったり、変革者集団であったり、産業のDXパートナーであったりと例えを出すことはあるのだが、ラベルを貼ることには当面苦労しそうだ。社名からJapanを取り除き、地理的制約から開放する未来像も描いているが、それはまた別エントリで紹介したい。

ともあれ、こうした野心的な挑戦に興味のある仲間を常に募集している。共感された方は、是非下記のページから応募いただきたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?