何もわかってない都会虫

段ボールを抱えている子供がいる。

「それ捨てるの。」

うん。
こどもっぽいから。
これ持ってると、もう遊んでくれないって言われたの。
そんななんの役にもたたないものもっているほうがおかしいって。

「へぇー。そうなの。」

うん。じゃあね。

「おい、おまえ何持ってるんだよ。」

えっとこれは、わぁ!

「!おまえもこれ好きなのか!」

え…

「いや、本当にいいよなこれって!なあ!」

…うん!

「これが好きってことは、当然これも持ってるよな!」

それ、なに?

「はは!冗談うまいな!これも最高だよな!」

…。

「…もしかして、持ってないのかよ?」

…。

「何だよにわかかよ!クソ、時間を無駄にしたな!
解りもしねえのに集めてんじゃねえよゴミクズが!紛らわしいんだよ!
これはなぁ、子供のおもちゃじゃねぇんだよ!」

…。

子供は、
段ボールの中の道徳を、憎むように強く握りしめ、
くしゃくしゃに丸めてゴミ箱に積め、
哲学を手に取ってその辺りの石のように投げ捨てた。
何故こんなものを集めたのだろうという顔をしながら全部投げ捨てた。
毎日見た数学の夢は今となっては思い出すのも恥ずかしいようで、
誰に知られる訳でないのに顔を赤らめながら頭を振り払って忘れようとし、
どうしても捨てられないお気に入りの科学の一つを、
こっそりと鍵つき机の隅に隠して、あとは全て捨てた。
どれも皆使い古されたおかげで、薄汚れている。もともとはどんなに輝かしいものだったのか。人間というものを経た物はいつも独特だ。使っている人間そのものを表してしまうだろう。良くも悪くも。
子供は捨てた学問を見て情けないような悲しいような、
それでも手放せないような気持ちで切ないのに
そんな自分が恥ずかしくてしかたがないような顔をしている。

ぼくはもう子どもじゃないんだ。

子供はそう決意して、再びおもちゃを捨てた。

今度捨てるおもちゃは、一体どんなものだろう。

どちらにしたって、子供には世界のすべてがおもちゃにしかみえなかった。



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友になっても虚しい会話か。

罠に向かっても悲しい問い。

何もわかってない都会虫。

文字列を並べて組み替えて事実は隠した。

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以下には何も書かれてません。寄付用です。

いちおう「文字を並び替えて隠した部分」もおまけしました。

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