炭鉱に連れて行かれるカナリアの走馬灯

私はなんの役にも立たないが、歌を歌う。
餌をやるうちに私に愛着を持つ鉱夫もいる。なんの愛想もしたわけではないのに優しい人だなと思った。
私は体が小さいので毒の許容量が小さく、毒を感知すると真っ先に悲鳴を上げて死ぬ。
「これ以上先に進めば毒で死ぬぞ」

「まだカナリア程度が死んだだけならば大丈夫だ。こいつの体が弱かったのかも知れん。よくあることだ。」

工夫達は奥へ進み続けた。

手ぶらで帰るほど、裕福な暮らしはしていなかったのだ。

だから毒ガスの多い炭鉱へ連れて行かれている、ということは知らなかった。
彼らはあまり教育を受けていない。

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