スピーカーの指向性と設置

PA用のスピーカーとオーディオ用のスピーカーの違い

PAオペを始めるまでは、全く気にしたことがありませんでした。
実際のところ、基本的にはどちらも同じ原理で動いているのですが、
用途に特化し特性が違うことに気づくまでに結構時間がかかりました。

アマチュアPAの僕は、カフェなどの小さいスペースでオペをすることが多いのですが、そんなとある現場で起こったできごと。

「なんか音がモコモコしますね。。。」

そう関係者に言われ、まぁ店に置いてあるミキサーとかスピーカーとか年代物で、そうそうクリアには鳴らないよなーと、思いながら「そ、そうですねぇ、でもお店の雰囲気に合ってると思いますよ」と、今思うと訳の分からない言い訳をし、その現場は終了しました。

でも、どうしてもその原因が突き止めたかった僕は、後日お店に行き、設置されている機材や設置状況を調べてみることにしました。

サンプルの音源を再生しながらEQで調整していったのですが(本番時にもやっていたのですが)どうしても、所謂クリアな音にはなりません。。。

どうにも分からず、ウロウロ歩きまわっているときにふと気づいたことが。

スピーカーのすぐ前は音がクリアじゃないか

そこで、店内の色々な場所で聞こえる音を調べていったところ、スピーカーから離れるにしたがって音がモコモコする(濁るという表現があっているかも)ような気がする。

位置によって音が違うということは空間自体に問題があるのでは??
そう思った僕は、PAのテック系ではなく音響工学関係の情報を調べていくことにしました。

そこで発見したことは、

音は色々なものに跳ね返りながら伝わっていく

もちろん一般的な感覚としては分かりきっていたことだったのですが、大きなスピーカーを目の前にすると、すっかりそのスピーカーから直接聞こえているだけだと勘違いしてしまい、周りの環境は気にしていなかったのです。

そしてもう一つ、スピーカーの特性として、音の広がる角度と有効な距離があることを知り、さらにはオーディオ用(家庭用)のスピーカーとPA用(業務用)のスピーカーにも差があることがわかってきました。

オーディオ用のスピーカーは近距離での使用を想定して作られた上で、リスナーの位置が左右にずれても音質が変化しにくいように設計されている。それに対しPA用のスピーカーは、ある程度離れた位置での使用を想定した上で、リスナーの左右位置のずれは、複数のスピーカーを設置することで運用するように設計されているらしい。
*下図はイメージです

画像1

結局今回の状況では、お店に設置されているスピーカーは、オーディオ用のスピーカーを使用していました。
そしてスピーカーのすぐ横に壁があり、音がどんどん跳ね返りながら混じっていったことによるモコモコだということが判明しました。

画像2

そこで、スピーカーをPA用の小口径のものに変更し、スピーカーの角度もできるだけ室内の内側に向けるように配置することで、モコモコ感を制御することができました。よかったよかった。

音は跳ね返らない方がよい?

今回の現象は、跳ね返った音とスピーカー本来の音の相性が悪かったために起こった現象で、音の跳ね返りや回り込みが全て悪ということではないと僕は考えています。

コンサートホールやお寺などでライブをする場合に、その会場の音の跳ね返りを利用して音作りをすることはよくあることで、音響機材だけに頼らず音作りをするPAの醍醐味とも言えると思います。

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