今ここにある危機とぼくの好感度についてについて

大好きな渡辺あやさん脚本で、大好きな松坂桃李さん主演、脇をかためる役者さんも素晴らしい方ばかり、
ということで見ないわけにはいかないと楽しみにしていて
スマホではなくTVでじっくり見たいからと録画しておいたものの、
TVの前に1時間座っているという時間がなく、
それでも2回までは見れていましたがその後はもうバッタバタの日々で、
昨日、ようやく、よっうっやっくっ(2回言いたいくらいマジで「やっとだよ~~」って思ってる)3回目を見ることができました。

「今ここにある危機とぼくの好感度について」

です。
1回2回と見て、まさに今ここにある様々な問題を丁寧に描いて
風刺が効いていて「渡辺さん、鋭すぎ!」って感じだし、
でも簡単に答えを出さない、
半〇直樹チックにいわゆる「悪」的なものを一刀両断もせず、
という姿勢が私はものすごく好きだと思ったわけです。

そしてそれをあくまでコミカルに描かれているのもいいです。
普通のドラマとして面白い。

そして第3回目。
論文不正隠滅問題で、告発をした元カノみのりちゃんが「完敗」して地元に帰ってしまった後に
なんだか自分が変わったような気がした神崎だけれど、実際はそう大して変わるわけでもなく、という始まりからしてよかった(笑)
そうそう変わらないんですよ、人なんて。
そんな中、帝都大学に起こった次なる事件は
ネット炎上からの大学側の対応問題。
これまた現実で何度も見たことがあるような事です。
内容はぜひ何らかの形で見ていただきたいので割愛しますが、
ここでも渡辺さんは単純な解決をさせないでいます。

いや、一見、ドラマにあるようなちょっと感動的な展開があるのですが、
それだって「めでたしめでたし」で終わらせないところがいいです。

このドラマは誠実なんですよね。
それは渡辺さんの脚本の特徴でもあると思うのです。
ドラマの中でも何度か言われているのですが

「社会は複雑にできている」

ということ。
期せずして、日曜日にRADIOSAKAMOTOでの 斎藤幸平さんと國分功一郎 さんの対談で言われていた
「世の中は複雑すぎる」
という言葉を思い出しました。

だから勧善懲悪的に一刀両断できるわけがない。
それを見ている視聴者はそれでスッキリするかもしれないけれど、
ドラマを見てスッキリして問題解決した気になってしまっては意味がないんですよね。
最近の渡辺さんの作品は社会の問題を考えさせられるものが多いけれど、
提起をした渡辺さん自身がどうにかしたいという当事者意識をお持ちだから簡単な答えを出されないのでしょうね。
それはとてもとても誠実な姿勢だと思います。
だから渡辺さんの脚本が好きなのです。

私ができることってなんだろうなぁと考えます。
少なくとも単純な世界観ではなんの解決にもならないという認識は忘れたくないなぁ・・・と思っています。
「自分の頭で考える」ことの大事さも教えてくれるドラマでもありますね。

みのりちゃんのように葛藤の末、リスクがあろうと不正を見逃すことはできないと行動するようなことができる人は稀だし
神崎くんのようにどうしたって事なかれって思ってしまうこともあるけれど。

オンデマンドなどでぜひ見てほしい作品です。






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