見出し画像

「デマ情報」に振り回されないために知っておきたいこと

 2011年に東電の原発事故が起きて放射能不安から様々なデマが流されました。そうした状況の中で急遽、『もうダマされないための「科学」講義』(光文社新書 https://www.amazon.co.jp/dp/4334036449 )に私がシノドスに寄稿した「放射性物質をめぐるあやしい情報と不安に付け込む人たち」が付録として収録されました。この中で「デマ情報のでき方」と「よくあるデマのパターン」について解説した部分は、出版してから9年が経ちますが今回の新型ウイルス騒動で流されているデマとも共通する部分が多くあります。そこで、「デマ情報」に振り回されないようにするために書いたこの部分をより一般化した内容に書き直した改訂版を出すことにしました。(元記事は有料でしたので、改訂版も有料にしました)

はじめに
災害や事故、新型感染症などをめぐるあやしい情報

 福島第一原発事故で放出された放射性物質の健康への影響や、大きな地震などの災害、新型の感染症の流行などについて、私も子を持つ親であり高齢者と同居する一人として深く関心を寄せています。
 ツイッターを含むネット上で流されている情報の多くは、確からしさなどの選別はされていないので、自分でその信頼性についての判断を下さなければなりません。誰がその情報を発信しているかだけではなく、その情報の1つひとつについてもよく注意していく必要があります。中には、不安を煽る情報を流しておいて、一方でその対策には〇〇がいいとしてあやしい商品を勧めている人(業者)もいるので要注意です。
デマ情報についての注意すべきポイントを知っていれば、用心深く情報を見ることができるのではないかと思います。いたずらに不安を煽る情報に踊らされないために、まずはデマの特徴やその広められ方について知っておいて下さい。

デマはどのようにして生まれるのか

よくあるデマのパターン
①情報・知識の根拠や、元の情報を示さない
②怒りを喚起させるなど感情的にして冷静さを失わせる
③できるだけショッキングな話にする
④「前例がない」として不安がらせる
⑤不適切なデータ解析
⑥事実の誤認
⑦英語文献などの誤訳
⑧あやふやな知識による勘違い

実際には上記のパターンが複数組み合わされていることがよくあります。補足すると、自分の考えと一致する情報は受け入れやすくてチェックが甘くなりがちですので、そうしたものこそ注意が必要です。
次にデマ情報の特徴について解説し、それらの具体例を示していきます。

デマ情報が広まる背景

ここから先は

9,552字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?