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Tom Waits | セルフライナーノーツ

「Tom Waits」

トムウェイツと言えば、古びたバー、ジャズピアノ、酒焼けしたような声、吸い殻でいっぱいの灰皿。
それから、映画「コーヒー&シガレッツ」のワンシーン。
禁煙中のトムウェイツとイギーポップの永遠に噛み合わない会話。ふたり煙草をふかすと、それまでのぎこちない空気がほぐれて、ほんの数秒わかりあう。ひとりになって至福の一服を楽しむトムウェイツが、可笑しいというか可愛らしいというか。そしてなんでだろう。おもむろに煙草を取り出して、ぼんやり煙をふかす姿に、憂いや色気を感じます。煙草が似合う、最高に渋いミュージシャン。
あってもなくても生きていけるけど、あったらあったで気持ちが落ち着く嗜好品のような気だるい歌。諦めと倦怠を漂わせる物憂げな男と、恋や愛に心を焦がす女の、映画のワンシーンのような歌を作りました。

これまたおおはたさんとの一発録り。おおはたさんの心地よいギターの音色に委ねて、わたしは歌に集中。リラックスした雰囲気だったけれど、やはりライブのような緊張感がありました。いい音、いい声、いい空気感。のんびりセッションしたら楽しめそうな曲。


Tom Waits

全てに飽きたような気だるさで
吸い込んだ時の眉間のしわ
燻らせたタバコの煙が
わたしの胸を焦がしてくの

愛だとか恋だとか都合のいいことに疲れてる
嗜めてそっぽ向いて言う
“僕は君にふさわしくないから”

果たさなくてもいい気軽さで
触れられることを夢見てる
毎晩想って月の裏側へ
達してひとりベッドに沈む

愛だとか恋だとか都合のいいことに疲れてる
嗜めてそっぽ向いて言う
“僕は君にふさわしくないから”

全てに飽きたような気だるさで
吸い込んだ時の眉間のしわ
燻らせたタバコの煙が
わたしの胸を焦がしてくの

灰になるまでじりじりと
わたしの胸を焦がしてくの

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