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Blah Blah Blah | セルフライナーノーツ

「Blah Blah Blah」

アルバムの中でも一番新しくて、そして難産だった曲です。

おおはたさんに弾いてもらったギターリフに切迫感や怒りのパワーを感じて、わたしの心には"気候危機"という難題が浮かんできました。聴く人によっては政治批判ともとれるこの内容を形にしたところで、世に出していいものか?畳みかけるような言葉の羅列を、書いては消してを繰り返して、何度も何度も見つめ直しました。
レコーディングでは勢いに任せて、ピッチやリズムのズレはほとんど直さず、荒々しいまま曲が完成。歌入れ中、おおはたさんの歪んだギターが、わたしの気持ちを強くしてくれたような気がします。
自分の思いや考えを表明することは悪じゃない。だって、それがなくなってしまったら、声を押し殺してしまったら、世の中のおかしいと思うことを認めてしまうことになるから。


"We say no more blah blah blah,
no more exploitation of people and nature and planet, no more exploitation no more blah blah blah…"

"ああだこうだ戯言はもうたくさんだ
人や自然や地球から搾取するのはもうたくさんだ
中身のない戯言はもううんざり、たくさんだ"

COP26気候サミットの会場の外で行われたグレタのスピーチの一部


これは、スウェーデンの環境活動家のグレタ・トゥーンベリの言葉。COP26気候サミットの会場の外で行われた彼女のスピーチのほんの一部です。
パリ協定(温暖化による世界の平均気温の上昇を、産業革命から1.5度に抑えるという約束)を守る気がない、口先だけの世界のリーダーたちに皮肉と怒りを込めて、"no more blah blah blah"と痛烈に非難し、"Climate Justice!" と叫び、若いリーダーたちと共に変革を煽っていた映像が、記憶に新しいです。環境問題への関心が強まっていくにつれ、私のなかでグレタの存在が大きくなっていきました。
圧倒されるような意志の強さや知性、ただならぬ覚悟。ほんとうなら学校で勉強をして友達と楽しく遊んでいたいはずの10代の女の子。この背景には一体何があるんだろう。彼女についての本を読み、映画を観て、彼女の素性を知りました。

学校の授業で気候変動や環境問題を知ったグレタは、自ら気候問題について調べて勉強するようになり、毎日考え続けるうちに、悲しみに暮れ、食事も喉を通らなくなってしまいます。
「自分が大人になる頃には生きていける場所がなくなってしまう。未来がないなら、学校なんて何の役に立つの?いったいどうすればいいの?」
2018年、グレタは気候危機を訴えるため、選挙までの3週間、毎日国会議事堂前に通い、たったひとりで学校ストライキを始めます。誰の目にもとまらなくても、雨に降られても、たとえ誰かに嘲笑されても。
次第に、一緒に座りこむ学生は、ひとりふたりと増えていき、グレタのメッセージはネット上でも瞬く間に広がっていく。世界中の若者たちがグレタの訴えに共鳴し、共に声を上げ、FRIDAYS FOR FUTUREという運動にまで発展していきました。グレタはもう学生を卒業しましたが、今でも学生や若者を中心に気候ストライキは続いています。



人間の活動によるCO2の排出で、地球温暖化は加速し、世界の平均気温は産業革命からすでに1.1度上昇しています。このままいけば、2030年代には1.5度以上上昇すると言われていて、海の珊瑚たちの白化現象が深刻化し、海氷が溶けシロクマたちは居場所を失い、熱波や森林火災などで陸で生きている生き物たちの約1割の種は絶滅の危機に晒されてしまいます。わたしたちにとっても、夏の酷暑、豪雨による水害など、激化する自然災害、農作物の不作や漁業の不漁などの心配がますます増えていきます。
ある転換点を越えると、今まで豊かさや恵みを与えてくれた自然界が、わたしたちに完全に背中を向けてしまいます。壊して、汚して、搾取するだけして、その分の感謝や敬意がなかったら、誰だって怒ってしまいます。
本来、自分たちが生きていくはずの豊かな未来を奪われてしまったら、誰だって怒りたくなります。

これは気候危機を訴える子どもたちの声でもあり、専門家や科学者のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)という科学に基づいた報告書の内容です。
責任ある大人たちは今も、戦争でお金を稼ぐために、核兵器や武器を作り、そこにある命や子どもたちの未来を奪い続けています。
もちろんわたしも大人のひとり。けれど、これからを生きていく大人として、子どもたちの未来を考える大人として、彼らの声に耳を傾けて、一緒に声をあげる側の大人でありたい。そんな、未来のための表明の歌です。



Blah Blah Blah

大人たちはいつでも 言うことを聞けと言うけど
子供たちのシュプレヒコールは聞き流すだけ
まやかしの夢や希望 未来を奪う泥棒
地球が1つ 2つ 3つ いくらあっても足りないほど
やめられない 止められない 石油付けの暮らし
不都合な現実を 認めない人々
聞こえはいいが その場しのぎ 無責任な話を
そんな口約束じゃ ないのと一緒だ

“No More Blah Blah Blah”
戯言を いつまでも まだ他人事
嘘の約束を よくも ミサイルごっこ
Climate Silence 聞こえないのかい?
“No More Blah Blah Blah”
戯言を いつまでも もうタイムリミット
Just Now…

海面上昇 森林火災 プラスチックの海
核のごみ 汚染水 最終処分は不在
家を失い また災害 そして運転は再開
地球が3つ 4つ 5つ いくらあっても足りないほど
やめられない 変えられない 便利で楽な暮らし
成功者や政治家たちは 英雄のような顔で
プライベートジェット機に乗り込み大気を汚染
終焉の足音 チクタクともうすぐそこ
まだ楽しみたいのと ワルツを踊る人々

“No More Blah Blah Blah”
戯言を いつまでも まだ他人事
嘘の約束を よくも 戦争ごっこ
Climate Crisis 聞こえないのかい?
“No More Blah Blah Blah”
戯言を いつまでも もうタイムリミット
Just Now…

大人たちはいつでも 現実を見ろと言うけど
子供たちのシュプレヒコールは見過ごすだけ
黒塗りの事実と 未来に馳せる野望
地球が1度2度3度 いくら熱が上がっても
やめられない 逃げられない 欲まみれな暮らし
権力者や政治家たちは ご満悦な顔で
ロケットを打ち上げ ロボットと月へめがけ
箱舟へのチケットで いざ新しい故郷へ

“No More Blah Blah Blah”
戯言を いつまでも まだ他人事
嘘の約束を よくも ミサイルごっこ
Climate Silence 聞こえないのかい?
“No More Blah Blah Blah”
戯言を いつまでも 
“Blah Blah Blah”
戯言を いつまでも まだ他人事
嘘の約束を よくも 戦争ごっこ
Climate Crisis 聞こえないのかい?
“No More Blah Blah Blah”
戯言を いつまでも もうタイムリミット
Just Now…


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