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繋がり

1. オオクワガタの話


昨日、朝の電車で見掛けた母娘の記事を書いたが、それだけでは終わらない濃い1日だったことを綴ろうと思う。

先日、元職場の男の子から久しぶりに連絡が来て、自宅で飼っているオオクワガタが繁殖したから、良かったら譲るよ、とのこと。

実を言うと私自身は虫が大の苦手なのだが、夏休み中の息子のためにも引き取ることを決め、昨日の午前中はそれを受け取りに息子と共に出掛けたのだ。

オオクワガタを譲ってくれる男の子ともう1人、お子さんのためにオオクワガタを引き取りに来た同じ元職場の女の子と4人で、落ち着いたお洒落なカフェに入った。

簡単に飼い方を説明してもらって、名前をどうするかの話になった時、その時点では、うちは"オオクワさん(仮)"、もう1人の女の子は"クワくん(仮)"とつける予定でいたのだが、引き取ったオオクワガタたちの両親が"ボブとクレア"だと聞いて、これはもうひと捻り考える必要があると判断。

ちなみにオスとメスのペアをひと家庭ずつ迎えることになったので、それぞれ2匹分の命名をすることになり、仮の名をつけられたオオクワきょうだいたちは、猛暑の中、それぞれの新しい家へと帰って行ったのである。

2. 町内会の話

さて、この日、午後は午後で色々とあった。

私の住む町の町内会では、ひと家庭ごと順番に、集金と回覧板の係が回ってくるのだが、今年の4月から半年間は我が家が担当だ。

この町に引っ越してきてもうすぐ5年経つが、この係が回ってきたのは初めてで、集金は各家庭を回らないといけないからちょっと緊張しつつ、まだ1人でお留守番できない息子にお手伝いしてもらって、4月から5月までゆっくり時間をかけて回った。

しかし、何度伺ってもタイミングが合わないご家庭があり、そうこうしているうちに7月も終わりに近づいてしまった。

そしてついにお隣さんから、町内会を取りまとめている班長さんから催促が来ていることを知らされ、再度残りのご家庭に伺った上で(結局諸々事情があってお会いできなかったのだが)、ドキドキしながら班長さんのお宅へ向かった。

"催促"という、少し怖さを感じる言葉が作る人物像は、玄関で顔を合わせた瞬間から打ち砕かれていった。

優しい笑顔でそこに立つおじさんが、新参者の母子を部屋に招き入れてくださり、集金が遅れたことをお詫びすると、「初めてで戸惑うでしょう」と気遣ってくださった。

そして帰りには、ご自身で釣ってきたという金目鯛や、息子用にゼリーとヨーグルトをお土産に持たせてくださったのだ。

ほんの数分の距離なのに、蝉の鳴く声と夏休みという時期が重なって、なんだか親に連れられて田舎の親戚の家にでも行ってきたような、緊張と安堵感に懐かしさを感じずにはいられなかった。

朝から色んな光景や言葉や感情が映画のように流れ、少しばかり疲れたところへ、この日のエンディングを飾ったのは、義実家からの宅配便。

お米や野菜、果物など、ありがたい贈り物。

目に見えるものとして受け取ったものが多かったけれど、人と人の繋がり、思いの繋がりを感じると共に、感謝の気持ちもたくさん生まれた1日だった。

そして今朝、オオクワきょうだいの名前がフォルテ(♂)とレガート(♀)に決まった。

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