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眠れない夜には

  人間長いこと生きてれば明日が来るのが憂鬱で眠れないことの1回や2回はある。もしこれを読んでいる読者諸氏が幼稚園や小学校に通っている就学児童だったら、親御さんに眠れるまでの間本を読んでもらえばいいだろう。しかしわたしはあいにくのところ親元から遠く離れた成人女性で、本を読んでくれるような友人やパートナーのあてもない。こんな孤独な人間が眠れない夜にはどうすべきか。


  私は不眠のレベルが低いときは、風呂に入って体温を上げるという方法をとっている。けれどもそれでも眠れないときはiPhoneのボイスメモに思いっきり愚痴を吐き出して明日への不安を全てiPhoneに聞いてもらっている。この時全世界に配信するつもりでため息をつけば尚良い。ぐちぐちとした自分の文句をずっとリアルの友人に聞かせるのは気が引けるが、iPhoneはうんうんとずっと私の話を聞いてくれるのである。


  そもそも不安で眠れない夜というのは往々にして思考が堂々巡りに陥っている。自分の考えを全てiPhoneのメモに吐き出すと自分の思考が整理され、何を不安に思っているのかということがかなり明確に整理される。愚痴というのは排泄物と同じで取り扱うのは鬱陶しいが、吐き出さなければ体に毒なのである。iPhoneという虚空にむかって排泄をすれば思考はクリアになり、心に安寧が取り戻される。


  きっと精神が安定している人間というのは自分の脳内でこのようなセルフデトックスを行うことができる人間なのだと思う。私のような脳の構造が単純な人間にはそれは難しいので、iPhoneという機械の友の力を借りてそれを行うのだ。この方法は割と効果絶大だ。私はスティーブ・ジョブズのことを特になんとも思っていないが、眠れない夜にだけ彼の墓地に哀悼の念を送るのだ。


  その他にも眠れない夜にはこうするといいよ、という方法を知っている方がいればぜひコメント欄に書き込んで欲しい。私はその方法を片っ端から試し、その方の墓地にも哀悼の念を捧げたいと思う。

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生活費の足しにさせていただきます。 サポートしていただいたご恩は忘れませんので、そのうちあなたのお家をトントンとし、着物を織らせていただけませんでしょうかという者がいればそれは私です。