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私は雨が好きだ

  特に夜中に降る雨が。インターネットで「雨 好き」と調べると、好きな天気を調べたアンケートなどが出てくる。それによればアンケートに答えた人間のうち10%ほどしか雨好きはおらず、つくづく私はへそ曲がりなのだということを痛感させられる。



  私が雨好きだと公言すると「変わってるね」「ちょっと気取ってる人が言いがち(笑)」「雨好きなやつは頭おかしい」などの答えが返ってくる。しかし私は雨好きは、そこまで変わった性癖でもないのだと抗弁したいのだ。眠りにつく一瞬の間、雨音は私を守ってくれるものであり心地よい眠りに誘う案内人である。わたしは子供の様に安心して丸まっていられる雨の夜を愛している。



  夜中に降る雨ほどではないものの、私は夜明けや昼の雨も好きなのだ。なぜなら朝目覚めて、今日も1日憂鬱な仕事や学校が始まるのだと瞼の裏に差し込む朝日は、私の敵だからだ。朝方雨が降っている日は天気が私の重たい気持ちに寄り添い、寝起きの頭を優しく撫でてゆっくりと1日をスタートさせてくれるラッキーな日なのである。また退屈な日常に降り注ぎ雨音で全てを満たしてくれる昼の雨も好きだ。シトシトと降り注ぐ雨の前に人間という生き物は無力であり、ただ自然界の前に己をさらけ出すしかない。その様はまるで心の平穏を体現していると言っても過言ではないだろう。



  けれど私がいくら言い募ってみても雨好きが圧倒的少数派であることは変わらない。「雨が好きなんて作付してる農家みたいだね」と言われたことを私は忘れないだろう。

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生活費の足しにさせていただきます。 サポートしていただいたご恩は忘れませんので、そのうちあなたのお家をトントンとし、着物を織らせていただけませんでしょうかという者がいればそれは私です。