ヤドン、うどん 、
ピンクのまあるいフォルムで愛らしくって可愛い生き物な〜んだ…正解はヤドンである。異論は認めない。そもそも自然界にピンクの生き物などそうそういない。ピンクという色が生存競争に適しているとはとても思えないし、目立って捕食される確率が上がるのではないかと思うが彼らはなぜかピンク色をしている。それにヤドン達はあんなにのんびりしていてどうやって餌を取っているのだろうか。水に潜って餌を取るときだけ俊敏なのだろうか…?過酷な生存競争において彼らが優れているとはとても思えないが、そんな彼らこそが私にとっての”正解”なのである。
私は初代ポケモン世代で、ラララ言えるかなを口ずさんで大きくなった。ポケモン図鑑をパラパラとめくると色んなポケモンがいたけれど、私が一番しっくりきたのはヤドンだった。「もふもふな方がいい」「イーブイの方が好き」という意見ももちろんわからなくはないのである。けれども弱者である私にとってなにも考えていないヤドンのおおらかさはとても魅力的だった。この世は不確定な未来へのゆらぎを包括しながら回っている。山あり、谷ありなんていうけれどときには厳しい冬の季節がやって来て私のような弱い人間を打ちのめしていくこともある。しかしそれでも生への希望を失ってはならないのである。そんなとき未来への不安を全く考えていないかのようなヤドンのつぶらな瞳に私はとても励まされるのだ。
ヤドンのかわいらしいところはたくさんあるが、その一つに何も考えていないように見えて意外と哲学的なところがある。ヤドンは王者のしるしでヤドキングに進化する。ヤドキングはとても知能指数が高く、1999年に公開されたルギア映画ではダウンタウンの浜ちゃんの声があてられるほどの重鎮具合を醸し出している。そうやって進化元のヤドンを眺めていると、あの謎めいた瞳の奥には何か深遠な考えが巡らされているのかもとも思わされる。あるいは今日のお昼寝の場所をどこにしようと考えているのかもしれない。どちらにせよ可愛いことである。またヤドンは見た目もとてもかわいらしい。赤ちゃんのような手足にクルンと巻いた耳、アヒルのような口という、愛されるために存在するかのような格好をしている。そこに邪気は一切感じ取れず、人が安易に近づいて抱き上げ頬ずりしてもなすがままにされていそうな雰囲気がある。キュートである。ヤドンの鳴き声は「ヤーン」と表現されることが多いが、予想を裏切らないのんびりした鳴き声とその見た目の合致はもはや芸術の域ですらある。
ヤドンは多分、飼い主が死にそうになっていたら自分の木のみをすこし惜しそうに分けてくれるのだ。そんな彼らを私はぎゅーっと抱きしめたいし、驚いた顔、笑った顔、拗ねた顔、怒っている顔、などいろんな表情を見てみたいと思うのである。
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