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少女漫画の主人公に必要なことはただ一つ

  切り替えの速さである。少女マンガのイケメンというのは往々にして主人公をさまざまな方法で揺さぶってくる。あれやこれやと心をざわめかせることを言ったかと思うとフッと遠ざかる。それに対していちいち赤面したり、いじらしく怒ってみたりと少女漫画の主人公は忙しい。だからイケメンの揺さぶりに対してコロコロと表情を変える柔軟性こそが唯一少女漫画の主人公に必要なことなのである。


  少女漫画の主人公にも1から100までいろんなタイプがいる。世の中のどんな人間でも恋の当事者になり得るのだから当然といえば当然だ。その中でも面白い少女漫画の主人公というのはこの百面相という条件に当てはまっているのではないかと私は思う。


  またわたしはこういう人たちは社会人になった時、えてしてフットワークが軽いのではないかとも思っている。ふと誘われた時に「行く行く!」と言える人間と恋に一喜一憂できる人間の心には、どこか同じものを感じるのだ。何事に対してもありのままというか、素直であるというところがその根底にあるのかもしれない。


   それに加えて、結局人は似たような価値観どうしで集っていく。もしかしたら少女漫画の主人公はどこかに「イケメン」っぽさを重視する価値観を持っているのかもしれない。ちなみに「イケメン」っぽさについてはまだ定義されてない。世間で言うところの清潔感とかいう定義不能の謎概念かと言われれば、そうでもないような気もするのだ。


  ついぞ少女漫画適性のない私はムードや駆け引きという概念にこれまで距離をとってきた人生だったが、こういうことを考察するのは楽しい。果たしてこの先わたしに「イケメン」と呼ばれるような人たちと接する機会があるのかどうかはわからない。けれど、わたしはわたしなりの少女漫画武装によってそれを乗り切って行ければいいなと思うのである。

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