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「刀座2023」に行ってきました

本日早朝から新幹線に乗って大阪へ。
目的は記念すべき第1回開催となる「刀座」(日本刀の展示即売会)に行く為です。
途中名古屋駅で緊急停止ボタンが押された事で、新幹線が遅延し会場入りは10時半ごろとなってしまいました。(朝一で行く予定が…)
会場となる大阪城ホールは桜が満開。

道中刀座に向かう人がやたら多いなと思いつつもどうやらKAT-TUNのライブもやっていたそうで。
後は花見客がとても多く大混雑でした。
歩いていると早速刀座のパネルが!
石垣の中から入るという少し心躍る展開…!
受付を済ませていざ出陣!


・会場の様子

※会場内は基本的に撮影不可との事なのですが、ブースの方に許可を貰えれば撮影OKとの事で今回掲載している物は許可を得て撮影したものになります。

刀座2023 会場マップ

以下のような感じで各ブース展示がされています。

会場に入ってまず目に飛び込んでくるのは「新堀刀剣美術」さん
無銘片山一文字(重要刀剣)

気になった刀や刀装具がもしあれば店員さんに伝えると出して見せて下さいます。私も早速見せて頂けました…!

会場内にはこのように手に取って鑑賞している方が沢山いらっしゃるので、初めて刀を持つ方も初めて持つ旨を店員さんに勇気を出して伝えてみると笑顔で見せて頂けると思います。

尚、刀の鑑賞にあたりスポットライトを持参しているお店と無いお店があり、ライトを持ってきていないお店の場合、蛍光灯下のみでの確認になる為、刃の冴えなどを見る事がなかなかに難しい印象でした。
ただ地鉄はとても見えます。

安東貿易さんにて。互の目の刃文に整った地鉄がマッチしていて美しい。

ライト関係も結構会場の制約があり大変なんだそうです。
きっと次回以降徐々にこの辺りが改善されていくのではないでしょうか。

全国で展示会を行われている「安東貿易」さんのブース

お店を見回してみると、比較的手に出しやすい安価な価格帯の刀で揃えているお店と、高価な物で揃えているお店、バランスよく揃えているお店、少数精鋭で展示されているお店など、各お店の工夫が見られました。
会場内とても盛況でどのブースも常にお客さんが付いているような状況でした。


・気になった物など(刀)

私は刀装具を探していたので刀装具メインの話にはなってしまうのですが。泰文堂さんの展示刀のラインナップは圧巻でした。
正宗短刀、珍しい虎徹短刀、来国俊などなど有名所の刀ばかりが展示されています。値札が付いていない物も多かったので、応相談の物が多いと思われます。刀の展示については一番美しかったように思います。

玉山名史刀さんには来国行の短刀(再刃)もありました。
来国行は太刀等はあるものの短刀はなく、とても珍しく資料的に頗る価値の高い品。
コレクション情報さんには重ねが薄く造られた栗原信秀があり(研ぎ減っているわけでは無く元々薄く造られている)、姿や地鉄がとても見事でした。
スポットライトが無く刃文が見えなかったのが残念ですが、とても冴えていそうな。
永楽堂さんの新藤五国光はまさに国光の典型作で、細直刃が美しい逸品。
地鉄は粟田口の流れを汲んでいると感じさせてくれるような精良で詰んだ地鉄。
その下にある正恒は摺上げで下部に銘が残っている状態ですが、腰反り深い姿がとても美しい。

あと宣伝というわけでは無いのですが、梅田龍峯庵さんで卓上短刀箱2.0に展示頂いた丹波守吉道は簾刃完成前の皆焼のような作で非常に覇気があり出来も良く見えました。(当初重要の長谷部国重を展示頂くとの事だったのですが、長さ的に入らず、急遽丹波になったの事。長谷部は令和6年に様々な場所で展示予定の脇差との事で、会場に着いた時には既に売約済みとなっていました。は、はやい…!)

卓上短刀箱2.0に展示頂いた初代丹波守吉道
特保だったので値段も魅力的ではあった
銘は「丹」の字が舟の帆の様に見える初代の典型銘
覇気の有る沸が美しい



・気になった物など(刀装具)

さてさて次は本命の刀装具探し。
気になった物としてはまずは神田藤古堂さんにあった古金工鐔。
太刀師鐔のようにも見える。
先日ツイートされていたこの鐔。

実際に手に取り拝見させて頂きやはり古さを感じて素晴らしい。
室町~桃山頃ではないかとのこと。
地鉄は真鍮地に象嵌が施されている。櫃孔は恐らく後世の追加工とのこと。
重量感がとてもあり、なにより、この深い造り込みが堪らない。

次はまるみやさんにあった埋忠鐔。
第一印象は肥後の平田で、素銅に丸い打痕跡が円形に配されて、モミジと桜のような透かしが施され、赤銅の覆輪が付いている。
覆輪の接続はとても丁寧に作られており、接続目が見えない。これも良い。
なによりも素銅の経年による風合いがとても良い。
個人的には肥後鐔にしか見えない物であったが、きっと花の透かしなど入っている事から埋忠極めになったのだろうか。

次は大阪刀剣会さんにあった早乙女鐔。
四角い小柄用の櫃孔に小さな笄用の櫃孔が繊細にあけられている。
鏨により細かく開けられた透かしは断面を見るとその凄さが良く分かる。
機械が無い時代の職人技が随所から感じられる作。

次は京都むらかみさんにあった古後藤(桃山時代)極めの金無垢龍の目貫。
裏は陰陽根で、縁はとても薄い作りをしている。
祐乗(初代)や宗乗(二代)でないのは確か。
とても小ぶりな造り込みにも関わらず鱗1つ1つまでかなり丁寧に作り込まれていて、しかも摩耗が無い。裏は陰陽根であるものの、力金がある。
上記から個人的には4~6代あたりの作ではないかと予想している。
とにもかくにも7代くらいまでの後藤家の作はどれも技量がとても高く、とても魅力的な品であった。

他にも手長猿をモチーフにした鐔など魅力的な物もあったが、今回特に気になったのは上記3つだろうか。
真玄堂さんのブースには相変わらず重要刀装具といった名品が数多く並んでいる。真玄堂さんはインスタもやられており、名品の数々をアップされていますが、それが目と鼻の先に有り興奮します。
真玄堂さんには実は今欲しい物が3つ位あるのでこれはまたお店に伺った時にでも改めて…。


・終わりに

という事で刀座は明日4/2まで大阪城ホールにて行われています。
40店近い沢山の刀剣店が出ていますので、刀好きな方はとても楽しめると思います!
桜も満開でしたので刀装具でも買ってそれを眺めながら花見というのもまた粋です。
結局私は、気になったものは先に挙げた通りあったものの、即断出来るほどの物には出会えず結局何も買わずに複雑な気持ちのまま14時過ぎに会場を後にしました。
まさかの大阪まで行って何も買わないという奇跡が起こったのでそのお金で10年ぶり位のうな重を食べました。

今家に帰ってから思い直すと買っておけば良かった物もあるのですが、まぁ縁があればまた目の前に現れる事でしょう…
長い刀趣味人生、たまにはこういう時もあって良いのかもしれません。

また会場でお会いしお話下さった皆様ありがとうございました!
刀に関わる様々な方と刀トークが出来てとても面白かったです^^


今回も読んで下さりありがとうございました!
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それでは皆様良き御刀ライフを~!

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

「刀とくらす。」をコンセプトに刀を飾る展示ケースを製作販売してます。

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