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打ち返し耳の素銅短刀鐔

鋤出し彫により打ち返し耳を表現したと思われる素銅短刀鐔。
横53.1×縦56.7×耳厚5.0mm、切羽台厚3.0㎜

時代が良く分からないがそこまで古い物ではないように感じられ、江戸初中期頃だろうか。打ち返し耳とその溝部だけ黒っぽい時代の色が色濃く残っているのはどこか詫びがある。
茎孔周りを叩いている箇所が多く見られることから拵によく付けられていたのだろうか。

耳には1箇所繋ぎのような部分が見られまさか覆輪?とも思ったが、よく見るとやはり単なるヒビ割れであった。

さてこのような素銅の打ち返し耳の鐔はあまり見ないので、どういった極めになるかを考えるのは非常に難しい。
古金工というのもまたいまいちピンとこない。

因みに埋忠明寿の鐔が真玄堂さんのインスタにアップされている。
侘び寂びや作品の質で言えば遥かに劣るが、打ち返し風に鋤き下げている点などは共通項も見られる気もする。

但しだからといって埋忠であればもう一工夫、例えば透かしであったり象嵌などが施されていたり、外形に歪みなどの変化を加えていそうにも思い、個人的な考えで言えば埋忠風を意識した名もなき金工作のような気が現時点ではしている。
しかしながら味わいはありこれはこれで気持ちの良い作に感じる。



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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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