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刀に五彩あり

昔より刀の鉄の色味について表現された言葉は色々あります。
有名なのは「名刀は青い」という言葉でしょうか。
実はそれ以外にも様々な色の表現があるので今回はそれらを紹介します。
昔の人は刀にどういう色を見ていたのでしょうか。

①「名刀は青い」説の始まりは?

「名刀は青い」
このように言われるようになったきっかけは、もとは「解紛記(かいふんき)」にあると思われます。
解紛記は、日本刀史上最も優秀な鑑識家とされている本阿弥光徳によって慶長12年(1607年)に書かれました。
その中で、「刀の位を極めるところは色にあり。上作ほど焼刃いかにも白くはぜ、地色うきやかに青し」と述べています。

つまり「名刀ほど刃が白くて地鉄が青い」と言っているわけですが、これが今良く聞く「名刀は青い」という基になったのではないかと、個人的には思っています。

参考画像:粟田口吉光
(画像転載元:https://yuhindo.com/awataguchi-yoshimitsu/)

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②刀工毎に違う色味の表現

慶長16年(1611年)に書かれた「古今銘尽」に色の記載が緻密に記されており、刀工の評価も「上々、上、中上~」というようにランク付けがされているようです。

因みに古今銘尽は以下から画像ファイルで見る事が出来ます。

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刀の色味は主に青、紫、黒、赤、白の5色で表現されています。
上から評価が徐々に下がります。

■上々作
三条宗近、粟田口国友、国吉、久国、吉光、国宗、正宗、行平など

・粟田口久国の色味
→地色青く紫なり

・正宗の色味
→地色青く紫にしてきらあり


■上作
粟田口国綱、相州貞宗、郷義弘など

・貞宗の色味
→地色青く見えて赤みあり



■中上作
則宗、助宗、宗吉、友成、助包、包平、信房、守家、長光など

・則宗の色味
→地色底青く見えて上に黒みあり

・古備前友成の色味
→地色黒く底に見えてきらとあり。刃色底青くすみて上浮きやかに白し


■下の上作

・三原正広(下の上)
→色底黒くして上白けたり。刃色青めにし鉄色堅し


上々の評価の作には、地色が「青」と表現され、
上の評価の作には「赤み」の表現が登場します。
中上の評価で地色に「黒み」が加わり、
下の上評価で「白さ」が加わる感じでしょうか。


③終わりに

これは完全に私感ですが、青く感じる部分は2つあると思っています。
一つは地鉄自体が青い刀、吉光や新藤五はこのイメージでしょうか。
地鉄に不純物が無く、均一に詰んだ地鉄全体が青っぽく見えます。

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(画像転載元:https://yuhindo.com/awataguchi-yoshimitsu/)

もう一つは刃縁から地鉄にかけて青いもやがかかるような刀、これは正宗などに見られるように感じます。
研ぎも見え方に影響している可能性もありますが、地鉄自体は黒っぽく、刃縁から地に掛けてぼわーんと青くなっている印象です。
下は行光の画像ですが、このようなイメージでしょうか。

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(画像転載元:https://yuhindo.com/soshu-yukimitsu-katana/)

美術館のようにガラス越しに青さを見るのはかなり至難の技とは思いますが、刀を手に取る機会がもしあれば色味なんかも気にして見てみると刀の鑑賞が更に楽しめるかもしれませんね^^


今回も読んで下さりありがとうございました!
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それでは皆様良き御刀ライフを~!

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