見出し画像

一文字の「一」の銘は多種多様

一文字の「一」の字は祖である則宗が後鳥羽上皇より天下一の名匠であるという意を込めて賜ったとされ、一文字派はその名誉を称えると共にその伝統と意気を示して代々茎に「一」と切ったものだと伝えられています。
(「日本刀の歴史 古刀編 著:常石英明」より)

ただの横棒に見えますが、この「一」という字の書風から年代や流派を伺い知る事が出来るというのです。

画像1

(画像出典:吉岡一文字 刀剣ワールド )


①一文字について

一文字といっても色々いて混乱すると思いますが、取りあえず則宗を祖とする福岡一文字(福岡一文字の中でも古い所を古一文字という)が源流で、そこから派生したのが吉岡一文字と片山一文字、位に覚えておけばひとまず良いのかもしれません。
なので一般的に一文字と言えば派手な丁子の刃文の福岡一文字の事を指すようです。
一文字については以前以下に少し詳しく書いたので興味のある方はご覧ください。


②「一」の字の種類

「名刀の見どころ極めどころ(著:本間順治)」によると、一文字の銘は大別すると以下の7パターンに分けられるそうです。
因みに冒頭の刀剣ワールドさんの画像の吉岡一文字は⑦になります。
絵では違いが分かりやすいですが、実物の判断は難しいですよね。
絵だけみても③と⑥で何が違うのか全く分かりません。

画像3

(出典:名刀の見どころ極めどころ 著:本間順治 P107)

古一文字 :斜めに無造作に切り付けられたような字
福岡一文字:角の止めがあまりたたない
吉岡一文字:角の止めが立つ

つまり斜めの一の字を見たら、古めの福岡一文字という事が分かる(古一文字は個銘を切る物も多い)のと、角の止めが目立なければ福岡一文字、角の止めが目立てば吉岡一文字、と分かる感じでしょうか。
あくまで本を読む限りですが。

以下はコレクション情報さんの吉岡一文字ですが、確かに止めがしっかりあるように見えます。

画像5

(画像転載元:コレクション情報 吉岡一文字

では以下は?

画像5

止めがしっかり見えます。が、福岡一文字だそうです。
全然分からないですね。

③終わりに

重要図譜などの在銘品を見ても「福岡一文字と鑑せられるものである」と書かれている場合もあれば、断定せずに「恐らく吉岡一文字であろうか」と書かれていたり、そもそも「鎌倉中期より末期にかけての一文字派の作とみられる」など、どこの一文字と極められていない事も多いので断定はプロでもなかなか難しいのかもしれません。

ただの横棒、されど横棒。
普通在銘を買えば誰の作か断定されるわけですが、一文字のように流派銘を切っている場合は、在銘だとしてもなお自分なりに研究する楽しみがありそうです。
躍動感のある刃文を焼く一文字派、刃文だけでなく銘の部分も奥がとても深そうですね!


今回も読んで下さりありがとうございました!
面白かった方はハートマークを押してもらえると嬉しいです^^
記事更新の励みになります。
それでは皆様良き御刀ライフを~!

よろしければ以下も合わせてご覧ください。

画像7


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?