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展示刀紹介④水心子正秀 in 小田急新宿

7/28~8/2(7/30は休)、小田急百貨店新宿にて刀展示ケースの展示会を行います。
それに際して展示ケースに展示する刀を紹介しています。是非展示会と合わせて記事を楽しんで頂ければ嬉しいです。
4振目は水心子正秀です!

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①刀工「水心子正秀」について

江戸時代になり泰平の世が続くと、日本刀の需要も減り、鍛刀の手法自体も簡素化されるようになりました。
そこに異を唱えたのが水心子正秀です。
水心子正秀は新々刀の祖と言われているように新々刀の先駆者で、江戸三作の1人に数えられている名工。
旧来の鍛刀法を一変して実用を軽んじずに南北朝時代の古作の伝法に復帰するべきという「復古鍛錬法」を唱えた人です。
同時に刀剣学者でもありました。
大慶直胤、細川正義、長運斎綱俊といった著名工をはじめ100名に及ぶ門人がいたと言われます。
1750年に生まれ、小さい頃から鍛刀をして22歳で独立、24歳のときに藩主秋元家に抱えられて水心子と号し、作刀は50年に及びその作数は369振という記録が残っています。ただし現存が確認できているのは100振り程度だとか。


②姿

2尺3寸1分、反り5分1厘

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③刃文と地鉄

作刀は安永から文政までの50年近くに及び、初期(天明、寛政、享和頃)は助広や井上真改などの大阪新刀を理想として濤欄乱や直刃調の刃を焼き、その後は大和伝や相州伝、美濃伝の作風の研究も行います。
晩年には復古論を唱え備前伝にも取り組んでいます。

この刀は文化12年なので晩年作に当たります。
映りは見えませんが、小沸出来で逆がかった小丁子のような所が見えるあたり備前伝を狙った作にも思えます。
高低差の整った刃文は落ち着いた雰囲気を醸し出していて、見ていて心が落ち着きます。

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④拵え

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⑤終わりに

水心子正秀は自身の研究成果を何十冊という本に残して後世に残すなどその後の刀剣界に大きな影響を与えた人物です。
泰平の時代になっても刀作りの技術が衰退しなかったのは水心子正秀がなしえた偉業かもしれません。
私自身水心子正秀の作をこの刀以外見たことがないのですが、他の伝法の作も見てみたくなりました。
新々刀なので刀工についての資料が沢山残っている事からも水心子正秀の作は調べれば調べるほどその人間味の面白さも含めて引き込まれそうですね!

最後に最近作ったばかりの刀展示ケースmokuに入れるとこんな感じです。

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展示会では美術館と異なり、刀身までの距離がもの凄く近い(5~10cmくらい)ので、この機会にぜひ新々刀の巨匠、水心子正秀の晩年作をじっくり見てみてください^^

展示会についてはコチラ↓


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それでは皆様良き御刀ライフを~!

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