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もし所有している刀が人気になり市町村等から購入を求められたら、所有者は結構追い詰められそう

まぁそんな事はまず無いのですが、仮にあったとしたら所有者としてどんな事に悩むのだろうか?という事を想像してみる。
因みに過去に何度か展示に際してその刀を厚意で貸し出していたとします。

厚意であれば、多くの方が展示を見て喜ぶなら、という理由で貸し出すと思いますので、多くの方の満足そうな声を沢山聞く事が出来れば貸し出して良かったなと思いそうなものです。

しかし難しいのはここからで、仮に市町村等が購入したい(譲ってほしい)と交渉してきた場合。更に「里帰りさせたい」と言うワードを出されてしまった場合。これは結構所有者を悩ませるのではないでしょうか。
以下はあくまで私の個人的な考えです。

①要求を断る場合

公的機関からの購入交渉を断る事で少なからず罪悪感が生まれそう。
理由はどうあれ、第3者から見た時には里帰りさせず自分の元に置いておきたいと思われる可能性もあり、人によってはその刀を独占したいと思っている強欲な人というレッテルを貼りつけてくる人もいるかもしれない。
本来はその人がしっかり対価を払って所持しているにも関わらず、です。
そのような人がいなくても自分の中で申し出を断った事実が残り、これが本当に正しい選択だったのか?という自問自答に苦しまされそう。
ネットを検索すれば「所有者との交渉決裂」や「所有者、○○市の要望断る」みたいな見出しの記事が出て来るかもしれず、所有者が原因で里帰りが叶わなかった、と所有者が加害者のような扱いをされる記事も出るかもしれず、そうなられば更に尾を引きそう。
そう考えるとなかなかに申し出を断り辛そうではある。

②要求を承諾する場合

承諾する場合、今度は「いくらで」という部分の取り決めに頭を悩ませる気がする。
売却金額が高すぎると金に強欲というレッテルを不特定多数の人に貼られるかもしれないし(山鳥毛の時もよく言われていた)、何者かに所有者を突き止められて強盗に入られるリスクも上がりそう。
今まで金儲け関係なく完全に善意で貸し出していたなら尚更高額な提示はし辛くなるだろう。
そして仮にその刀の本来の価値からいえば相当に安く提示したつもりの金額であったとしても、刀を知らない大多数の人がその金額だけ見れば高いと感じる事もあるかもしれない。
かといって無償で譲渡するのは流石に。

③言われてしまった時点で

と考えると、市町村等からの申し出というのは言われてしまった時点で承諾しても拒否しても所有者的には心理的に追い詰められそうである。
多くの人に刀を見てもらいたいと思う一方で、大切にしていた刀を完全に差し出すというのはかなり堪えるのではないか。
ましてや刀剣乱舞などで注目の集まった刀で里帰りさせたいと言われてしまったのであれば尚更。
勿論お金を沢山貰えるなら出したいという所有者の方もいるでしょうし、それが悪いとも、がめついとも特に思いません。
いずれにしても所有者に変な圧力が掛かったりしなければ嬉しいなと。貴重な個人蔵の刀を見せて頂けるだけでとてもありがたい事です。
所有者に対して印象操作が加わらないような記事の書き方等、配慮がされるべきに思います。
勿論所有者の方も譲渡に前向きな場合もあると思いますし、そうであれば何も問題は無いのですが。
結局第三者が口を出してどうこうなる案件ではないですが気になったので書きました。

太刀:綾小路

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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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