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「将成鍛刀場」を訪問させて頂きました

昨日BS日テレ「神業MUSEUM」の撮影用の設置に行っていたのですが、設置後に群馬県桐生市にある工藤将成さんの工房、「将成鍛刀場」を訪問させて頂きましたので今回はその時の様子をお伝えします。

①工藤将成さんについて

以下の記事を参考に書いています。
工藤さんの刀作りに対する考え方や思いなども載っていますので、詳細は是非以下をご覧下さい!

高校2年生の頃に、テレビ番組のコーナーで有名な刀鍛冶の先生が出ているのを発見した工藤刀匠。
もともと大学に行ったり会社員になるというつもりがなかったらしく、手に職をつけたい、職人の仕事をやろうという考えが漠然とあった所に刀鍛冶の情報が飛び込んできた事がきっかけだったそうです。

その後、親戚から刀鍛冶の載った新聞の切り抜きを送ってもらって見学に行ったり、博物館で刀を見たり。
その内に色々な縁が重なり刀の鑑定会に参加、そこで藤安将平刀匠に出逢い、高校卒業後すぐに弟子入りされたそうです。
入門してから8年、師匠である藤安将平さんの元で修業をし、遂に「将」の字をもらい「将成」という名に。
藤安さんはTwitterもされていてとても笑顔の素敵な方です。
ご存じの方も多いのではないでしょうか?

ちなみに藤安さんの師匠は宮入行平さんで、「平」の字を受け継いだと言います。

②作業場訪問

群馬県桐生市にあるギャラリー禅林から車で15分程走った場所に工藤さんの鍛刀場はある。

とても綺麗な作業場
天井が高く抜けている
こちらが刀を鍛える際のスプリングハンマー。
この機械を作っているメーカーもいまや殆ど無いんだとか。
ここで刀を熱して先のスプリングハンマーで叩いて伸ばし刀の姿に成形していくのだろう。
こまかな成形に使うハンマーは大体が工藤さん手作りとのこと。
微妙に異なる先端の形状で拘りが感じられます。
この僅かに思える形状の差が完成後の刀に影響を及ぼすのかもしれません。
刀の現在料である玉鋼。中には鍛刀場近くで取れるという桐生砂鉄も!
工藤さんの刀は地景が自然な形で上品に入っているイメージでしたが、こういった原材料の差と言うのも大事な要素なのかもしれない。
玉鋼を掴んだり、熱して叩いて直方体にした玉鋼を乗せる棒も全て手作り。
刀鍛冶はまず作刀に必要な道具作りから行うらしい。
こちらは刀を鑢で成形したり曲げを調整する場

作刀されている状況は以下から見れますので、是非ご覧ください。

(出典:Youtube「日本刀の注文で刀匠の鍛刀場へ行きました。」より)


③作刀された刀を見せて頂く

その後ご自宅に案内下さり、工藤さんの作られた刀を拝見させて頂く事に。
工藤さんの刀をよく研がれている研師の細村正勝さんもいらっしゃり、作刀と研ぎの両面からお話をお聞き出来る貴重な場となりました。

研師の細村さん(左)と工藤刀匠(右)

またご自宅には鍛冶押しする場が!
そこには焼き入れ前の刀が沢山。命が宿る直前の刀の姿です。

包丁正宗写しらしきものが。
これが焼入れをして研ぐ事で光輝く日本刀になると思うと、まだにわかに信じられません。

工藤さんの作刀された刀を手に取って拝見させて頂いたのですが、写真は撮れなかったので昨日「神業MUSEUM」の設置時に展示した状態の写真をば。

こちらは小太刀。
鑢目も美しいです。
個人的には山城の来派あたりを目指した作に感じ、地鉄がとても精美で真っすぐに綺麗に入った
直刃は拝見していると姿勢が正されます。
こちらは2尺4寸程度の刀。
工藤さんが手に持って頂けたのですが、とにかく姿が美しい。
特に地鉄には地景が自然な形で入り古さを感じます。
まだ本砥をされていないようですが、十分に美しさが伝わってきます。
本砥されると刃が更に明かくなり冴え冴えとした作風になるとのこと。
その姿は6/25~11/6のギャラリー禅林での展示時に是非ご覧ください。


④終わりに

刀匠の工藤さんや研師の細村さんにお話を伺っていると、刀は本当に僅かな違いで結果が全く違うものになるという事を知りました。
叩く回数を増やせば良い刀が出来るわけではない。
程よい所で止める事が大事で、その「程良い」という部分が難しいのだと。
工藤さんも細村さんも古刀再現の探求心がとても強く、日々研究されているようでした。
工藤さんは実用も考えた刀作りをされています。試し斬りなどで使用する刀の場合は必ず切れるかどうかなどご自身で斬って確認するそうです。
Twitterもやってらっしゃるので、興味のある方はフォローされてみては如何でしょうか!

なんとお弟子さんも募集されているとのこと!


今回も読んで下さりありがとうございました!
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それでは皆様良き御刀ライフを~!

工藤さんの刀が私の製作した刀展示ケースmokuに展示された状態で6/25~11/6に群馬県桐生市の「ギャラリー禅林」に展示されます。
よろしければ以下もご覧ください。


↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

「刀とくらす。」をコンセプトに刀を飾る展示ケースを製作販売してます。

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