2020-2021シーズンの渡邊雄太について個人的まとめ

・特殊なシーズン
・ラプターズのチーム事情
・渡邊雄太の背景
・2021-2022シーズン


先ずは本契約おめでとう。来期が何も保障されていない契約内容だが、本契約には間違いない。日本人はこうやって地道に頑張って成功を掴むストーリーが大好きだからね、余計に心に響くし、八村塁とは違う感覚で応援している人も多い。少し自分と重ねたり、自分も頑張ろうと思えるようなキャリアだよね

余談だが昔に読んだ競馬雑誌に競馬で日本初の国民的ヒーローになったハイセイコーは地方からの成り上がりが人々の共感を得たらしいが、血統そのものは当時の主流というか一流の血統なのでスタートが地方競馬というだけで、中央スタートでも結果を残したであろうと

渡邊雄太の御両親も共にプロのバスケ選手で、更に母親は日本代表のキャプテンだった。NBA本契約までのサクセスストーリーは日本人好みだが、その背景は日本有数のバリバリのバスケエリート。

為るべくして為った要素もあったわけだ


・特殊なシーズン
渡邊雄太の成功の一因として特殊なシーズンだったという理由もある。
シーズンは短縮、だが試合数は微減、BtoBが多くタフなスケジュールで選手の疲労を考慮したローテーションをしなければいけなくなった。2wayも帯同45日から試合数50試合に拡大され、その後その上限さえ無くなり尚且つプレーオフも契約変更なしで出場可能になった

・ラプターズのチーム事情
ラプターズのチーム事情で今年はフロリダ州タンパがホームになった。アウェーがホームだ。この状況でまともな成績を残せるとは、正常でリアリストな経営者なら誰も思わない。つまりシーズン当初からラプターズは各選手に色々な経験を積ませ成長をさせることが主眼だったわけだ

私はシーズン序盤のOGの欠場に疑問が残っていた。そこまで休ませる必要があるとは思えなかった。

経営の判断としてOGの価値を高めるようなことをせず、他チームからトレード要求されないようにする、今年で契約が切れるラウリーやノーマンパウエルに箔を付けて交渉材料にする。この主力2人に対してチームは未来を見据えたうえでそう判断しているように見えた。結果スターターでの実力を証明したパウエルはPORにトレードされ、そこでリラードやマッカラムと並んで普通にプレー出来ていた

OGが出場しない分、他の選手が出る時間が確実にあり、そこをスタンリーやベンブリー、渡邊雄太がシェアしていた

またロスター枠を1つ空けたことで渡邊雄太の意欲を削がず、尚且つトレードで1人余計に獲れる枠を常に準備していた。

この辺りは首脳陣の冷徹な判断だった

未だに理解しづらいのがブリセットの解雇だ
カナダっ子でありTORファンのお気に入りでもあるブリセットを解雇したのは驚きだった
シーズン終盤にINDと10日間契約から複数年の契約を勝ち取ったブリセット
最終戦のTOR戦でも解雇された鬱憤を晴らすかのような大活躍だった

なぜこのような有能な選手を手放したのか、OGの代わりに出場時間を確保すると活躍が間違いなしだからか?
タンクも出来ない、出場すれば活躍するので他の選手の成長の妨げになるから?
他の競争原理が働かないからか?非常に不可解で疑問の残る解雇だった。単にミスっただけかもしれない、そんな訳ないか

渡邊雄太の日本というバックボーンにビジネス的な魅力を感じてのキャンプ参加だった部分もあるだろう
ビジネス含めて使えそうだと判断させた渡邊雄太も立派だ


・渡邊雄太の背景
2年間の2wayGリーグ生活は助かった。適応する時間を与えてくれたMEMには本当に感謝しかない
またエージェントのワッサーマンのバックアップも渡邊雄太を商品として高めてくれた
悲壮な覚悟でキャンプに参加し、エレンソンや後にBKNと複数年契約を結ぶアリゼジョンソンを蹴落としたのは素晴らしかった
キャンプ参加時は間違いなく一番下だった

TOR首脳陣は渡邊雄太のビジネス以外にどこを必要と感じたのだろうか
サイズ、器用さ、賢さ、守備の意識、向上心、その辺りならブリセットでも充分だったろう
自分が考える一番のポイントはゲームメイクの出来るサイズのあるG/Fという部分だろうか
来期のセカンドユニットはボールハンドラーもゲームメイクもフリンが担うと思うが、その次として渡邊雄太を考えているのではなかろうか
渡邊雄太の最大の特徴はボール離れの良さである。彼はボールを支配しない
反対にボールを持ってゴールに向かって攻めろとナースHCから注文を付けられるくらいだ
「セカンドユニット」「3&D」「守備要員」
その役割を従順にこなしすぎてしまう、良い意味でも悪い意味でも融通が利かない。もっといえば融通を利かせてもいいよとナースHCからお墨付きを貰ってからプレーの幅が広がった。昨年までのGリーグでやっていたようなスタイルを出していいのだと理解した。

それが4月の大活躍に繋がったのだと思う

これからはセカンドユニットで積極的にゲームメイクに参加しろと要求されるだろう。フリンは当然マークされるので、高さのある渡邊雄太がハンドラーの1人になる、荒唐無稽の未来ではないだろう

・2021-2022シーズン
2021-2022シーズンはほぼ通常のシーズンに戻る
試合はタイトではなく、もう少し疲労を回復させる時間もあるはずだ
五輪があるのでいつものワークアウトや身体のメンテナンスが出来ない
渡邊雄太にとっていきなり正念場、つまり2020-2021シーズンのキャンプ前と同じ状況
保障の無い本契約は関係ない、ブリセットも解雇された
しかもドラフト上位の選手と競う必要がある
死に物狂いのサバイバルは今シーズンと変わらない

特殊なシーズンだからこそ結果が残せた、通常のシーズンでは通用するのかと心配されている方も多いと思う
アンチも通用しないと吠えている
そこを私なりに通用するという根拠を並べていこうと思う

いくら特殊なシーズンといえど、シーズン当初はどのチームもタンクなど目指していない。チームケミストリーを構築しながら実績を積み重ねようと高いインテンシティでプレーしていた。
そんな相手に渡邊雄太は守備でインパクトを残し、3Pを決めていた。4月頃のような器用さや仕事量が増えたわけではないが、シーズン序盤の強度でも普通にやれていたのは渡邊雄太の能力の証しだと思う。


渡邊雄太自身はチームに多大な影響を受け成長したが、実は渡邊雄太がチームに少しだけ変化をもたらしている
それは特に4月後半、渡邊雄太が絶好調で自身の持っているスキルを試合中に数多く出すようになってからだ
渡邊雄太の影響でラプターズの試合を多く見るようになって感じたことだから私の贔屓がかなり入っているとは思う

その1つはバウンズパス。シーズン序盤でもベンブリーにバウンズパスを出していたし、ガレスピーやハリスにバウンズパスでアシストしてたね
あれからフリンや他のチームメイトがバウンズパスをする場面をちょいちょいみかけた、シーズン序盤には無かったことだ
もう1つがボードの高い部分を使うシュート、渡邊雄太がキャリアハイの20点目、ボードの高い部分を使ったフローターを決めた。その後でボードの高い部分を使ってみようとする意識がチームメイトにあった。実際使っていたのも何回かあった。これもシーズン序盤には無かったこと


アメリカではそんなことをしなくてもプレーできる、日本では考えられないような強いパスも簡単にキャッチして次のプレーに繋げたり、ボードを使うくらいだったらダンクを狙うから、ボードの高い部分を使うのを必要どころかイメージすらしたことも無いだろう。
でも渡邊雄太が自然に使うバウンズパスやボードを使ったシュートに何かしらの刺激を受けたんじゃないかなって、楽しい妄想をしてる


自信を持ってシュートを打てるようになり、試合の中で明らかに重要なシュートを決められるようになった
個人的なハイライトは2試合、4月のSAS戦とBKN戦だ

SA戦は個人的な守備の頑張りがクローズアップされもしたが、何といっても競った場面で効果的に3Pを3本決めたこと
渡邊雄太本人はベンチからでも4Qの終盤に出るくらい必要な選手になりたいと目標を語っていたが、4Qに競らないよう、そこまでにしっかりと突き放すプレーをし続けるのは4Q終盤に出るよりもっと価値が高いと思う
そんな決めるべき時にしっかり決めたのがSAS戦だったと思う

それからBKN戦は4Qの9:45に実況解説から「ビッグショット」と言われた11点差にするコーナー3Pを決めた。
これこそベンチから出て4Q終盤に競らないようにする「突き放す一撃」これを決め続けられれば渡邊雄太は恐ろしいシューターになる。
あれこそが求められている本当の仕事だ、POで使ってもらえるプレーだ。

21-22シーズンもロスターに残って、ああいったビッグショットを何本も見たいものだ。

タンクのお陰でドラフト4位指名権を得て荒削りだが有望な選手を獲得できたTOR。おそらくは彼を育てることもメインとして2年後くらいはPO争いのチームを作ろうとしているはずだ。そんなチームの中で渡邊雄太は生き残っていけるのか。昨シーズンは一番下だった、ただ這い上がれば良かった。けど今シーズンはエレンソンの立場になる。1年間TORの戦術に馴染んだうえで、ドラフト2巡目や欧州帰りの選手とロスター枠を争うことになる。

本当に厳しい世界だ

渡邊雄太のことだからキャンプから全力でプレーするだろう。非常にクレバーな選手なので新しいチーム戦術にも直ぐに対応するだろう。でも、だからといって、生き残れる世界ではない。

8月12日、五輪後にやっと渡米してチームに合流したばかり、サマーリーグのロスターには入っているが、試合に出場するかどうかは解らない

どんなことがあろうと彼を応援し続けようと思う

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