誰も教えてくれない成人向け漫画の描き方備忘録 #2 ~もうちょっと具体的な話編~

前回書いた記事では、成人向け漫画を「自分が描きたいページだけ」描くために「既存の成人向け漫画を参考にページ・コマを構成する」という手法をとってみる、ここに至るまでどういう思考をしていたかというのを中心に書き残しておいた。

とはいえこれだけ残してても後日見返したらノスタルジーに若干浸れるだけになってしまうので、もうちょっと実用的な話も書いておこうかなと思った次第。

というわけで、上述の手法で自分が今どうやって成人向け漫画を描いているか、というのをもうちょっと細かい手順にしてみた。
※基本的に一週間で4Pの漫画を描くローテを回しているので、そのローテ一回の中でやってることの手順になる

①登場キャラクター・メインのシチュエーション決め
②描きたいページ決め
③既存の成人向け漫画などから資料集め
④各ページのコマ構成(ネーム作成)
⑤一般的な漫画作成(吹き出し付け→下書き→ペン入れ→塗り→効果)

大体こんな感じ。ちなみに時間配分は①~③と④がそれぞれ1日ずつ、⑤が3日くらい。合計するとおよそ5日になるので週休二日的な考え方でいくとこれで一週間かかるということになる。

箇条書きで挙げるだけだとやっぱりシンプルすぎてようわからんので、各手順(特に①~③)でどういうことをやってるのかもうちょっと掘り下げておく。

①登場キャラクター・メインのシチュエーション決め

大前提としてこれから自分が描こうとしているのはあくまでも自分が見たい/描きたい漫画なので、「誰を描きたいのか、どういうシチュエーションを描きたいのか」ということは一番最初に固めておく必要がある。

基本的に自分が描いている漫画は二次創作なので、シチュエーション等他の要素より先立ってキャラクターは明確にしておく。
そうしている理由というのは、キャラを決めないと他が決まらないため。
逆にキャラを決めずに先にシチュが決まって、それから描きたいキャラがそのシチュに合わない場合結局シチュを考え直さないといけなくなる。二次創作とはいえ自分の中で解釈違いを起こしたまま描くほど苦痛なものはない。

ただここについては、個人的にキャラクターが描きたい優先度として最上位にあるからこういう思考になっているものと思われる。シチュエーションの優先度が高い場合は、そのシチュに合ったキャラをそのあとに決めるという流れでもいいのかもしれない。

そしてシチュエーションを考えるフェーズに移るが、ここもとにかく「何を描きたいか」をはっきりさせる。例えばこのキャラの特定の体の部位(おっぱいとかお尻とか)を描きたいとか、キスシーンを重点的に描きたいとかセックスの場面でどの体位を描きたいとか。それってシチュエーションじゃないんじゃ…という話かもしれないが細かいことは知らん。
どうせ描きたいページしか描かないので、合間の流れとかいきさつとかそういうのは考えなくてもよい。そういうことはプロにお任せしておけばいい。

②描きたいページ決め

描きたいキャラとシチュが決まったので、今度はそれをどういうページにしていくのかを少しずつ詰めていく。
自分の場合は大体「前座」「行為前(前戯)」「行為中」でそれぞれ1ページを構成し、それらを組み合わせて4ページに収めるようにしている。前座なんか知らねえとにかくセックスしろオラァの場合は全ページ行為中とかでも全然いいと思う。

ここで決めるのは、あくまでも各ページをどういう内容にするか、というざっくりしたことのみ。ここでコマ割りがどーたらこーたらとかは決めない。だってわかんないんだもの。わからんのでそこは先人の貴重な資産を有効活用させていただく。

わからんので決めなくてもいいとは言ったものの、大体各ページ1コマはどういうコマを描きたいかくらいは決めておいた方がいいかもしれない。およそどういう漫画にもあると思うがページごとに強調して見せる大ゴマがあったりするので、そこをこの時点で考えておくと後の作業が多少スムーズになる。

③既存の成人向け漫画などから資料集め

ここから本格的に実際に漫画で描くコマとか構図をどうするかを詰めていくことになる。とは言っても自分で一から考えるのではなく、既存の成人向け漫画を参考にすることで完成度の高い作品を仕上げることができる。なんといってもプロの作家が描いた漫画なんだからそりゃもう完成度は言わずもがな。

参考にする漫画はなんでもいい。別に商業誌でなくとも同人誌でもいいし、とにかく自分が好きな作家のえっち漫画を引き連れてこよう。ただ後で詳しく説明するが、自分が描きたいものの元となるコマなり構図なりがないとあまり参考にならない可能性が高いので注意。
資料として使うので数は多ければ多いほどいいと思うし、個人的には紙の本の方が捗る気がする。世にはDL購入できるデジタル版の漫画も多く出回っているが、紙の方が気づいたときにパッと開いて確認しやすい気がする。あくまで個人的な話なので人によるかも。

で、この資料たちからどういうことを参考にするかというと、自分はよく「コマの割り方」「大ゴマの配置」「コマ内の構図」を見ている気がする。要するにコマの使い方に尽きるのかもしれない。
作家によって特徴が出やすい部分でもあるのでひとまとめにこうですと説明しづらい部分はあるが、特にコマの割り方は色々と勉強になったと思う。コマからキャラクターを一部はみ出させて描くとかも勢いが出て面白かったり。

④各ページのコマ構成(ネーム作成)

あとは自分が描きたいページ内にコマと構図を割り当てていく。別にそっくりそのまま移し替えずとも(というかそんな都合のいいパターンはほとんどない)、コマの割り方だけを真似してコマの中の構図とかは別の資料から引っ張ってきたりすればよい。資料の使い方はより自由度を高めた方がいいと思う。

コマは割れたけど欲しい構図がどうしてもみつからない…とかの場合は、もう漫画に限らず世にはびこる神絵師たちのイラストを見ればいい。pixivとかで調べたらいらんほど出てくる。
自力で描くのが難しいなら資料をとにかく探せばいい。トレスとか丸パクリするんじゃなくてちゃんと最終的に自分の絵に落とし込んで描くのであれば、それは誰のものでもない自分の絵になり漫画になる。


残りの手順は省略する。あとは描くだけだし。
強いて言うなら、コマの集中線とか効果付けのやり方であったり、描き文字の描き方とかは好きな作家のやり方をまずは真似してみるといいと思う。特に描き文字は描ければ描けるようになるほど楽しくなってくる。

これさえやっとけば下手の横好きでも割とええ感じに漫画が描けるから良い。一から十まで漫画を描かないといけない…というハードルの高さは自分で低くしていった方が気楽にできる。

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