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吐き捨てるまで── 2

モノにナロカ。

ワタシに掌がアッテ──

掌の中心に空洞がありました。
空洞が有ればナニカを埋めたく思います。
一体何を埋めばワタシの気は済むだろか。

「きっと、気は済まない。」

•••--- --- ---•••

「演出をしたいです。」
演出家の先生に紹介いただいたとき、ワタシを緊張を隠すことに必死になりながらしどももどろ想いを伝えた。
「なら裏方を勉強しなあかんな。」
それからワタシは舞台照明を中心に舞台のことを学んだ。

4年という短い期間その現場で経験を積み、その場を去ることを決めた。
その時点では自分の舞台脚本も演出も一度も行っていなかった。
その時点で行ってもよかったのだろ。
然しワタシは行えなかった。
努力出来なかった。
他人のせいにしていた。
だから、ワタシは去ることを決めた。
《自分が努力できる場所で。》
《自分が果たせる結果を見つめて。》
劇団の代表には、
「あほやなぁ。」
と飽きれられた。ボクの決意を話すと。
それはそう。だってワタシは地元の奈良を去り、神戸に出てきている身なのだから。
何のために演劇を始めたんだ?

振り返れば──。
あの頃、自分の中で揺れていた気持ち。
【作家】となるか。
【裏方】となるか。
【裏方】としての世界で生きながらボクはこの世界に入るきっかけとなった【作家】の人格をどう扱うかについて揺れていた。
【作家】にならないと。その想いがボクを揺るがしていた。
正直いうと生活のことを考えると積んだ【裏方】のキャリアを磨く方が楽だった。
然し、【作家】になりたい想いをボクは優先した。
【作家】である条件その一。
作品を創ること。

何にも増して優先することをボクはあの頃決めた。
だからといって、何も変わらない。
自分が何者で、何をするのか。
成し遂げたことが今となるだけ。

•••--- --- ---•••
掌の窪みにナニカガ溜まりゆくノヲミマモレ。
粘り強く。
結果ガデルマデ。
•••--- --- ---•••

ボクの心の中はずっと疑惑が晴れない。
【作家】であること。
【作品】を創ること。
果たしてワタシの行いはナニカニ対して尽くしていられているか。
しかし。
ワタシは掌を出していたいから。
続けている。

モノにナロカ。

ワタシに掌がアッテ──

掌の中心に空洞がありました。
空洞が有ればナニカを埋めたく思います。
一体何を埋めばワタシの気は済むだろか。

「きっと、気は済まない。」

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