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吐き捨てるまで  1

常に団体という枠組みで創作することですら、ワタシにとっては作品製作と同意義といっても差し支えない。
『容原静』、『カムパネルラ』。
この二つの看板は一つの生命体としてもう個人としてのワタシから手離れ生きている。
彼等はワタシのテンションとは無関係に創作することを止まない。
彼等を止めることはワタシに出来ぬ。

『ラブラブ、吐き捨てるようにラブ』の稽古は進む。
協調性があり舞台経験のあるメンバーによる創作は反社会的要素を一切感じさせない独独の緊張感で進む。
はじめての座組となるため、互いの力量•性格を計っている。誰しもが。ワタシ自身も。
回数を重ねるに従い互いの度量をわかってきた。
一月限定の創作。互いの仲について理解が深まった瞬間には解散。
センタメンタルな気持ちにはならない。総ては作品を成就させるため。

カムパネルラは現在容原静一人できりもっている。
一人でやりたいわけでない。一人で始めるしかなかっただけ。
仲間を探している。カムパネルラに相応しい人材を。

カムパネルラは─
友人に戴いた名前。

彗星のようなコエ。
声がコンプレックスだったワタシにヒカリをくれた。
友人は病気と闘っている。
友人の生き様はワタシに進む先を教えてくれた。
今ワタシはその道を歩んでいる。

カムパネルラ。
まるで彦星と織姫のように、何処か知らない世界で生きているキミのことを想い。
ただこの地面の上で生命を萌やす。
それがワタシの生き様。

誰が見ていようといなくとも。
堅実に•懸命に。
創作の手を止めない。

ソレが誓い。
運命。

この世を生きる喜びよ
ヒトの望みの喜びよ

『ラブラブ、吐き捨てるようにラブ』
このタイトルは自分の劇中詩から取り上げた。
安達綾人という架空のアナーキストの人生観を纏めた詩。
ラブラブ、吐き捨てるようにラブ。
彼の行き場のない愛をワタシがなんとかして詩に纏めてみた。
その詩の一部を今回の作品のタイトルとしたわけだ。

今回の作品のテーマとはなんだろう。
テーマってよく訊かれる。
役者からもスタッフからもお客様からも。
この作品で伝えたかったことはなんですか。
そう問われるとワタシは想いを抑えて答えを模索する。
本当のところわからない。
ただ自分の信念に従って創作を止めないだけ。
名称を、理由をラベルのように貼りつけるのは野暮な気がする。

ラブ、ラブ吐き捨てるようにラブ。
今回の作品のテーマ。
罪と罰についてよく考える。
この世は決まりごとだらけ。
誰かが喜ぶ。悲しみ。何かが起きれば。
本当にほんとのところ罪も罰もないんじゃないか。
この我々の生命の誠の喜び、悲しみの前で一体何が罪か。罰か。
総てはこの世の中を円滑に廻す為の決まり事だ。
ほんとのところ。誰かが感謝の気持ち、或いは謝罪の気持ちが産まれればその時に真心を届ければいいだけ。
ボクは我を忘れていた。
ボクは自分自身で身勝手になにものかに支配されていた。
ボクはその事に気づいた。

現実を扱えず、支配されて病む存在。
彼等の苦しみに違うとワタシは訴える。
自らの精神を、心を、現実という籠に囚われてしまう事ほどもったいないことはないじゃないか。
人生はあるがまま、我々一個の生命体の意思で育まれているのだから。
己が拒絶する事象から逃れられない事ほど愚かなことはない。
総ての理不尽にワタシはノーと訴える。

自殺は最大の罪。
誰が決めたのか。
目の前の大切なひとが自殺したならばやりきれない。
然し自殺を止められる関係だったならばと悔やみきれない。
それでも尚どうしようもなかったなんて自己安堵へ匙を投げる。
誰だ、自殺は最大の罪って話した奴は。

自殺しても尚、賽の河原で石ころを積むような人生なんてまっぴらだ。
どんな理由があるのだ。その行為に。
愛すべし理由があるならば口は出さぬ。
誰か教えてくれ。
誰か──。

苦痛を描いている。
何か達したで留まる人生を描かぬ。
苦労と葛藤をワタシは描く。
その末に待つ本気をワタシは狙っている。

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