第八回「ウェイ・オブ・ザ・ウォリアー」
みなさんはアンチャーテッド(Uncharted)という神ゲーをご存知でしょうか。2007年に発売され5シリーズ発売。累計4000万本以上を販売している3Dアクションゲームです。ゲームシステムやグラフィック、演出、ボタンの使用のさせ方など多くのゲーム開発者がうなり参考にしてきた素晴らしいタイトルです。また2022年にはトム・ホランド氏主演で映画化もされました。私は北米出張時の飛行機の中で見たので劇中での飛行機でのアクションシーンと乱気流での機体の揺れが相まって手汗が凄かったです。
その名作アンチャーテッドを開発した会社はノーティードッグ(Naughty Dog, LLC.)と言います。クラッシュ・バンディクー(Crash Bandicoot)を制作したことでも有名です。が、今回紹介したいノーティードッグ社のタイトルはウェイ・オブ・ザ・ウォリアー(Way of the Warrior)です。
対応ハードは松下電器から発売された元祖32bitコンシューマー機「3DO」です。私はカプコンという会社のスーパーストリートファイターⅡX(Super Street Fighter II Turbo)が「3DO」にしか移植されない!と聞いていたので発売日に買いました。言いたいことは色々ありますが。ウェイ・オブ・ザ・ウォリアーの話の前に少し初期型の「3DO REAL」の思い出を書かせてください。
■でかいぞ!かっこいい見た目
先ず特筆すべきはその大きさと特徴的なフォルムです。天板はまるで大理石の様な高級感。ディスクトレイには金色に輝くPanasonicの文字。四隅にはパルテノン神殿の柱を彷彿させるような脚。私は愛をこめて「ダーマの神殿」(ドラクエⅢ)と呼んでいました。後継機の「3DO TRY」はあまり好きじゃないです。
■無限に繋げるコントローラー
ゲーム機には複数人で遊ぶことを想定してコントローラーの差込口が複数用意されていることが多いです。しかしこの「3DO REAL」には差込口が1つしかありません。対戦できないじゃん!と思わせておいてちゃんと考えているのが「3DO REAL」のニクイところです。1Pコントローラーの上部にもう一つのコントローラーを接続する口がついているのです。さらに2Pのコントローラーに3Pのコントローラーを繋いで…と無限に接続することが出来るのです!(書いていてホラー映画のムカデ人間を思い出してしまいました)なんかの紹介記事で「サッカーゲームを20人でプレイ出来る!」みたいなのを読んだ気がします。頑張ってあと3人対応して国際大会の最大数23人を達成して頂きたかった、と言うのは置いておいてこの目からウロコの仕様には一つの落とし穴があります。それはどんなに複数人が繋いでいても1Pに繋がった2Pのコントローラを抜いたら、それ以降のプレイヤーが全員切断扱いになる、という非常にわかりやすい問題点。(あとめっちゃコードが長くなる)これを不具合と言うか味というかであなたの「3DO REAL」愛が試されるでしょう。
■すごいぞ!3DO MAGAZINE
対応ゲームソフトがそれほど多くなかった「3DO」の救世主的な存在が徳間書店インターメディア社から発売されていた「3DO MAGAZINE」です。通常の書籍+3DOで遊べる体験版集で構成されていました。値段は1000円程度。Dの食卓(D)で有名な飯野賢治さんが設立した株式会社ワープのゲームの体験版やオリジナルゲームが遊べたり「猫丸回転寿司」など様々なゲームが遊べる(当時の)最先端メディアだったのです。私が読者投稿コーナーに投稿しまくっていたのは秘密だ!驚異の採用率。
と、当時からかなり苦戦を強いられていたハードなのですが、ユーザーさんは「3DO REAL」愛が強かったのではないかと思います。みんなTV東京系列で放送されていた3DO啓蒙番組の「高城剛X」を見ていたハズです。私は見ていました。3DOの話ができる人はみんな友達だと思っています。
高校時代に仲良くなったヒロシくん(仮名)もそんな3DO勢の一人でした。
「ステラ7 ドラクソンの逆襲(Stellar 7: Draxon's Revenge)遊んだ?」「鉄人(Iron Angel of the Apocalypse)のクオリティヤバない?」など信仰心の高い会話をしている中でヒロシくん(仮名)から勧められたのがウェイ・オブ・ザ・ウォリアーだったのです(ようやく)
「BGMが良くてさ、なんとかゾンビって人が歌ってるんだよね」と聞いた時に衝撃が走りました。私はロブ・ゾンビ(Rob Zombie)が率いるホワイト・ゾンビ(White Zombie)の大ファンですので、すぐさま秋葉原に走りました。学校はお茶の水だったので走って15分です。
ウェイ・オブ・ザ・ウォリアーは1995年発売の実写取り込み系格闘ゲーム。当時大流行したモータルコンバット(Mortal Kombat)に強い影響を受けたゲームです。同時期に沢山の実写取り込み系格闘ゲームがリリースされましたが(タトゥーアサシンズやジャッキー・チェン THE KUNG-FU MASTER、サバイバルアーツなど)中ではマイナーな方だと思われます。
残虐描写も採用。ボスはCGで描かれた骸骨やドラゴンが登場します。操作性、ゲームバランス共に良くは出来ていません。が濃いキャラクターやアイテムの要素(初代サムライスピリッツの様な)などで独自性が出ており、何とも愛らしいゲームなのです。あとBGMの力は偉大。自分が遊んだのは日本国内版だったのですが、キャラクターボイスや一部ナレーションがローカライズされていたのには感動しました。タイムオーバーが近づくとナレーションボイスで「なにをやっているんだ!」「来る時が来た!(直訳気味)」と叱咤されるゲームなんてなかなかないですよ。自分が愛用していたキャラクターはマルコム・フォックス(なぜかゲーム内ではスパルタン・フォックスと呼ばれる)という結構ギリを攻めた名前のキャラクターでした。舌を切り落とされたという設定なので「ウォッ!」「ウェッ!」「ウォァ!」といったボイスしかないのでローカライズの恩恵は受けていませんでしたが。
私がウェイ・オブ・ザ・ウォリアーを教えてもらった直後に友人のヒロシくん(仮名)は色々ありまして退学していまいました。元気にしてるかな。
アンチャーテッドを見るたびにウェイ・オブ・ザ・ウォリアーとヒロシくんの事を思い出してしまいます。
しんみりしてしまいました。
では、また。
なにを言うとるんじゃ!元気出せボケじい!