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初春の贅沢

よく通る近所の道の脇の擁壁の上にMさんちの庭があって、その端に立派な白梅が植わっている。2月、地面の白くて丸い点々に気付いて見上げると、梅の花はそろそろ盛りを過ぎている。散り敷かれた花びらの作る不規則な水玉模様の上を歩く。日に日に増えていく水玉がやがて減って、風に飛ばされていく。初春の朝、小さな花びらを踏んで通る小さな贅沢。ラグジュアリーは案外日常のあちこちに散らばっている。

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