中華料理を食べに行こう その②

昨日爆睡してしまったので今日続きを書く。

一昨日書いた記事では、高 華吉さんという、現在の京風中華の立役者的な料理人の系譜を継いだ中華料理店をセレクトした。しかしながら、京都には当然あのテの薄味の店以外にも中華料理店は存在する。

なんなら、京風中華の控えめな味を食して蓄積されたフラストレーションをビンビンの激辛中華で発散することを、姜 尚美さんはその著書内で【京都の反動】と呼ぶのだと紹介していた。すな、そんな反動。

本日紹介するのはいわゆるそういうお淑やかな中華とは別軸のものである。

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●三軒目 『点心厨房 桃花』

桃花?!?!?!

ひどく安直な動機で来店を決めた店である。

聞くところによると、台湾の名店で16年修行した点心師(店主の奥様)が毎日手作りする点心が食べられるのだという。点心師っているんだ…そういう職

割と家族連れが多く、年齢層も様々だった。
聞くところによると、大人6名の予約で完全個室に入る事もできるのだとか。中華料理で定番の赤い円卓。浪漫がある。

今回は担々麺と点心のセットメニューにて、台湾小籠包と焼売を頂く。

まずもってびっくりしたのが、点心が肉汁たっぷりで柔らかい。
なんと言えば良いか、冷めても美味しい感じがする。旨みが隅まで味わえる美味しさだった。

そしてツイッターでは言ってなかったが、担々麺がいい塩梅の辛さと甘さであった。
汁の辛さに肉の甘み、野菜の歯応えもさることながら、辛さが全く悪い刺激にならないまろやかさを帯びていた。
食ってるかどうかは知らんが、家族連れが多いのもなんとなく頷けた。


こちら特にスタッフと話をするような店ではなかったが、デザートに杏仁が出てきて、なんかサプライズをして貰った気がしてほっこりした。

黒ゴマ団子とか出してるみたいなのでこの次は食べてみたい。

というか、2名以上で来店すると飲茶が頼めるそうなので、普通に誰かと連れ立って行くのもおすすめ出来るお店だった。


●四軒目 『駱駝』

広東料理、台湾料理と来てお次は四川料理だ。

なんでも、ここの麻婆豆腐が絶品だという話を聞いたので、それは是非賞味してみたいと立ち寄った。

場所はラーメン激戦区の一乗寺から白川通を南下した北白川地区。

京都芸大からほど近い場所に居を構えるこのお店は、マ緑の瓦屋根に木製の看板という、エキゾチックな情緒溢れる佇まいだ。

ふと看板を見上げると隣はバーのようである。



ろ あ な ぷ ら

…ん?

なんかちょっと不安になってきたな。

大丈夫かな。


気もそぞろになりながらも、目の前の中華に集中するため入店する。

外も外なら中も中。『駱駝』の店名に似つかわしい中東系の内装と、暖かみのある照明。可愛らしい置き物の数々。カウンター席なので厨房も壁の隙間から垣間見える。

セットメニューに麻婆豆腐を選択。ご飯は無料で大盛りにできるそうなので大盛りにした。無料なので。

先に卵スープとザー菜が出てきた。ちょっとだけ卵スープを飲むと、今まであまり経験したことのない味がした。
透き通ったスープの味に独特の旨みが染み込んでいる。卵スープってこんなんだったっけ?と思った。

これは期待できるかもしれない、と麻婆豆腐が来ると同時にハートランドを注文。

人は写らないようにするので、店内の撮影をしてもよいか訊ねてみると、女性スタッフが愛想よく「どうぞどうぞ」と返してくれた。

店内の磨りガラスは駱駝の形にくり抜かれており、箸置きまでも駱駝の形をしている。茶碗の模様も可愛らしく、こだわりと遊び心を感じる。

さっそく食べてみる。


麻婆豆腐は、当然辛い訳だが、サラッとした舌触りのスープに豆腐と肉味噌が上手く絡み、いわゆる腹がもたれるたぐいの辛さでは




……………




…なんか痛いな




なにこれ?と思ってもうひと掬い頬張ってみる。

BB弾くらいの大きさの真っ黒な花椒?がまんま入っている。地雷原のように。



よく知らないんですけど、こういうのって元の実を粉砕して少量で味わうものではないんですか???




そこからはもう茨の道であった。

箸休めなど食べても食べても気休めにもならない。ご飯を食べようものならご飯の熱さが舌への刺激をさらに加速させる。卵スープとハートランドビールを飲んでいる時だけが口内を癒すひとときの回復薬となっていた。ビールが?

基本食事に行って残すという選択はしないタイプなので、ちゃんと全部食べたが、あともう少し水が足りなかったら危なかった。



……こういうもんにこそ食後に杏仁豆腐出すべきじゃあないんですか?!?!?!?!?!



茫漠と広がる砂漠の渇きとも似た刺激を口内に湛えながら、卵スープは美味かったな、と脳内でひとりごちた。

さっき撮影の可否を訊ねた女性スタッフに、「卵スープが美味しかったんですけど、何か使ってるんですか?」と聞いてみると、「えーなんでしょう 調理スタッフに聞いてみないと…」と返答。

「秘密ですかね」 「秘密かもですねっ」とはにかんだ顔に、多少なり舌の痛みが和らいだ。


お礼を伝えて退店する。 いややっぱ痛いわ舌


ここはロアナプラのお膝元。激辛麻婆豆腐を供する笑顔の素敵なスタッフが見られる、京都の片隅の小さな中華料理店……





ちなみに、麻婆豆腐以外だと雲白肉(ウンパイロウ)という、豚肉の薄切りをローストビーフ丼みたいに重ねてその上に薄切りキュウリと辛めのタレをかけて作る料理も絶品なのだという。
次はそちらも挑戦してみようと思う。舌が元気なら

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以上が今回の旅で食べた中華料理店だ。

京都というと、喫茶店とかラーメン屋ならある程度見当がつく所だが、中華に絞って食べ歩きをした事など全くなかったので、かなり面白い体験になった。やはり目的のある旅は新たな発見があり楽しい。

以下に今回の旅の足跡を記した。
こういう地図書くのたのしいね。

鳳泉と鳳飛の色指定が逆でした(あとで気づいた)



実を言うと私は私で、大学時代に「もうこれを越えるものはないだろう」と思えるような、パラパラ具合も絶妙でいくらでも食べられるという素晴らしい焼飯に出会っている。社会人になってから、京都の炒飯ランキングとかを見てちょくちょく立ち寄ってみたりしているのだが、未だにこれを越える焼飯には出会ったことがない。

京都でフォロワーの方とご一緒する機会があれば、ぜひ食べ比べてみてほしいと思っている。

ソロ旅ももちろん楽しいが、食べ比べや食べ歩きは、人と連れ立って行くところにそれ独自の醍醐味があって良いものである。

それでは。

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