BCC


他人から「好きな食べ物は?」と訊かれると、いつも"カレー"と答えている。

その度いつも「ガキっぽ!」とかツッコミを受けていたが、思えば小学校低学年ごろに書いた自己紹介カードみたいなものの『好きな食べ物』欄に"カレー"と回答してから、生まれてこの方この手の質問には常に"カレー"と答え続けているくらいには好きだ。


話は変わって、近ごろ我が家では執拗にバターチキンカレーを作っている。

理由としてはいくつかあるが、最も動機として大きいのは『カレー好きを公言してる割にカレーはあくまで食べ専なの?』という自問自答からである。

確かに、ウチではカレーを自炊の一環として作ることはあるが、それは単に好物としてただ作るだけで、もう一歩進んで、例えばメーカーがそれぞれ出しているカレー粉に数値的な評価・格付けをしたり、自分でカレーのアレンジレシピを作ったりといった探究の精神をぜんぜん持てていないな、と思ったのがきっかけである。

「じゃあなんでバターチキンカレー?」という問いには、まぁおいしいから、という単純な理由。

混ぜるだけで出来上がるので入門には適当そうだし、また市販のカレールウを使うとやたらと油分を多く取り過ぎるという年寄りみたいな理由もある。(一応、カレー食べるともたれるから、というわけではない。常においしく食べている)

そんなわけで、今日は近ごろ私が作ったバターチキンカレーの変遷を初挑戦から遡って書く事にする。

ちなみに私は普段自炊らしい自炊はあまりしない。

【初回】
かなりフィーリングで作った。

用意したのは、
・エスビーのカレー粉
・しょうが、にんにくチューブ
・バター、油
・トマト缶
・鶏肉
・たまねぎ
・にんじん
・塩や各種スパイス

以上

作った過程をDiscordの通話で仲間内に共有しながら作ったが、即座に「ヨーグルト入れないんですか?」と聞かれた。

どうやらバターチキンカレーはバターとチキンとカレー粉だけあればできるというわけではないらしい。(検索したレシピには入っていたが無視していた)

コリアンダーとガラムマサラで味を調えて作り、まぁまぁ美味しくできたがなんだかシャバシャバしている。なんでだろう。

「水何ml入れたんすか?」という問いに「え、適宜…」と答えたら「フッ…」と鼻で笑われた。

く、くやし〜〜〜〜〜〜〜


【第2回】
にんじんを省略。
「たまねぎを炒める際、塩をふりかけると浸透圧の関係でたまねぎから水分が出て手早く炒められる」「焦げつきそうになったら少し水を加えて調整する」という話を応用。
また、鶏肉を予めしょうが・にんにくチューブ、ヨーグルト、カレー粉とで袋に混ぜて冷蔵で置いておくと乳酸菌が肉を柔らかくしてくれるという知識を得たので、そのように味をつけておくことにした。

高校時代は生物を専攻していたために、化学変化の詳しい仕組みは分からないが、同じく生物を専攻していたために、浸透圧の話はスッと頭に入って理解することができた。

まぁうん。味はちょっと薄いけど調味料で調えたら美味しいんじゃない。という感じ。

【第3回】
気分でじゃがいもとにんじんを参戦させる。

また、最後に生クリームを入れる事でコクが生まれるとかなんとか耳にしたので入れてみる。

ゴロゴロした具材がスパイスの辛さと合わさりちょうどいい感じのまろやかさになった。

でもなんだか今までで1番禍々しい気がする。味は美味しかったです。

【第4回】
再びじゃがいもとにんじんは除外。

鶏肉を冷凍のハーブ鶏に変更。たまねぎは1玉丸々使い、トマトはトマト缶から市販のトマトへ。

トマトは冷凍すると細胞内のグルタミン酸が流出しやすくなり、旨味成分が多く取れ、皮部分に含まれるリコピンは加熱調理すると吸収率が上がるとの事で、皮ごと調理する。

バターは今まで2かけら使っていたが、まろやかさを上げるために生クリームを入れる段階でさらに1かけら追加。
味が薄くなりすぎた分はカレー粉を大さじ2ほど追加する事で味を調える。

油分減量のためにエスビーのカレー粉使ってる割にバター使い過ぎでは?と思われるかもしれないが、これはおいしさの探求なのでそういうのは度外視することにする。

なんだかんだ4回目に作ったものが店で供されるバターチキンカレーに1番近いものになった。

バターの香りと生クリームのまろやかさ、2日くらい置いてた鶏肉はスプーンで切り分ける事ができるくらい柔らかくなっていた。

最終着地点としては、

・鶏肉200gをヨーグルト100mlとしょうが、にんにくチューブ適量(大さじ1くらい)とカレー粉大さじ2で冷蔵保存(最低30分〜2日)
・油大さじ2とバター2かけらを熱したフライパンに、くし切りにした玉ねぎ1玉を入れる。
・トマトを2玉(小ぶりなら3玉)入れて潰しながら混ぜる。
・保存しておいた鶏肉を入れる。
・15〜20分ほど煮詰めて焦げつかないよう様子見。
・最後に生クリームを入れてカレー粉、塩やスパイスでで味を調えて完成。お好みでバターも追加投入

といったところ。

「料理は化学」という言説はあるにしても結果的にかなりアドリブに依った作り方になった。

まぁ土井善晴先生も「レシピを見るより目の前の食材をよく見て料理しなさい」と言ってたので、このへんは実際料理してみての場数によるものなのかもな、とそれっぽい事を考えたりした。

カレー好きとして今後もこれをベースに色々アレンジとか加えて作ったら楽しいかな、と思う。まぁ可能な限りレシピの範囲内で。

1人暮らしの良い所は、たくさん失敗しても他人から嘲笑されることのない気楽さにあると思う。我が城に主は独り。社会はここだけで完結している。

せっかくこんなに自由なんだから、料理以外にも色んな分野へもっと手軽に手を出してみた方がいいかな、とも思う。家に1人しかいないが故に恥を存分にかける環境を大事にしたい。

…まぁこの恥をSNSで全世界的に発信してる時点でこの長所は完全に崩れてるわけだが。
皆さんも何かやってみてください。

目標は小さくても、完成したあとの『なんかそれっぽい!』という気持ちを大事にしたいですね。
皆さんのDo It Yourselfをお待ちしています。

以上。

冷凍したトマトをスタッフが美味しく頂きましたの図

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?