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失恋は私をきれいにするか

失恋をするときれいになるって、人生で一度は聞いたことあるはず。私は、恋をするときれいになる、というのも聞いたことがある。

「恋をするときれいになる、ってあれは本当だと思う」あなたは近すぎてわからないだけよ、と私の知人Aが、私の友人Bを例に私に諭したことがある。その時私は恋をしていなくて、だから「ふーん」と言いつつもちょっと悔しいような、ねたましいような、迷子みたいな空虚さも抱えてため息をついたはず。

学生は比較的暇なもの。また別のときに、別のクラスメイトCが別れたらしいと聞いて、彼は男の子だったのだけど、彼はたしかにかっこよくなった。記憶にあるほどだ。傷みに耐えて息をつめる、苦くて眉をしかめるような、ちょっと翳りのある顔つきが切ないくらいに色っぽかった。たしか彼はほどなく別の子Dと恋愛を始めたそうで、そのときのことは覚えていない。

ちなみに私が「最近雰囲気変わったね、恋をしてるの?」と訊かれたかつてその時は、恋どころか自分自身を持て余していて、全然毎日楽しくなかった、将来の不安にぺしゃんこになっているさなかだった。

今思うのは、美しくなる恋もあればみにくくなる恋もあるのかもしれないということ。そしてどちらに転ぶかは、その時が来なければわからない。でもきっと、あなたのことを思って心を傾けたその重さだけ、必死になったその分だけ、真剣になったその純粋な心もちだけ、そしてあなたが同じようにしてくれただけ、たぶん美しくなる。

きれいになる恋をしたいですね。せっかくですもの。

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