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聖マリアンナ医科大学の入試不正について

去年の夏前にミャンマーでもらってきたデング熱に感染して、入院していました。その病院の運営者は聖マリアンナ医科大学。

かなりショックな出来事で、いま呆然としています。入院していた病院で、最初に診察を受けたのは女性医師だったのですが、とにかくものすごくきちんと診察をしてくださったんですね。その前に2度行った内科では、2つくらいの質問でカゼと決めつけられてたので、いっぱい質問してくれることが本当にありがたいな、と感じていました。それから、数人のお医者さんが私の診療にあたってくれましたが、どの先生も本当に良くしてくださって、病院全体の雰囲気もよく、キビキビとみなさんが働いていて、夫ともいい病院だねえ、と話をしていたのでした。きっと聖マリアンナ医科大学と大学病院は、しっかりした教育をしているのだなあ、と思ったのです。

実態はわからないけれど、もし、私の考えたように、素晴らしい医療教育を行っている機関なのだとしたら、なおさら、女性に生まれたというただそれだけの理由で点数操作が行われ意図的に女性が排除されたという事実を許せないのです。学ぶ環境はものすごく大切です。どんな先生にどんなふうに教えてもらうか、一緒に学んでいる学生がどんな人達なのか。私が今、UCLで学んでいて一番感じることです。熱心な先生にきちんと教えてもらうと、身につく量が違います。周りの友達たちに引っ張られるように私も勉強をしています。女性が女性であるという、私達自身コントロールできないことで、その素晴らしい環境が奪われたということは本当にグロテスクで悲しいことです。

私は常に女性差別や女性蔑視といった日本にはびこる男尊女卑の文化、トキシックマスキュリンに対して怒っています。痴漢にも怒っているし、痴漢という言葉を出しただけで、反射的に冤罪という言葉を出してくる男友達や職場の先輩たちに対して怒っている。職場で浴びるちょっとした女性蔑視発言にも、日本のバラエティの女性蔑視にも常に怒っています。女性の体をモノ化した広告や公共の場で行われる表現にも怒っています。

ちょっと見かけたのがね、「フェミは聖マリアンナ医科大学の入試差別にこそ怒るべき」っていう言葉だったんです。私これ見て更に腹が立ってね。わかりますか。これってつまり、宇崎ちゃんポスターとか痴漢とか些細なことに怒ってないで、こういう大きな問題に怒るべきっていう言説だと思うんですね。飲み会の場でおじさんが酔っ払って言ってくることやちょっとお尻を触られたくらいのこと、道端で知らないおじさんに陰部を見せつけられたくらいのこと、女性だけ化粧やハイヒールを矯正されること、メガネを禁止されること。そんなのは怒るに値しないこと。ちょっと困ったように笑って流しておけばいいこと。そう言いたかったのではないか、と。

それは違います。私達が感じる不快はずっとそうやって矮小されてきた。小さなことが、こんなあからさまな不正を許してしまう土壌になっていたわけです。そういう小さなことが全部大きな差別につながっているのは明らかです。私はこの入試不正も許さないし、性犯罪も許さないし、取るに足らないかもしれない女性蔑視も許しません。すごく怒っています。

聖マリアンナ医科大学やその他の大学医学部、文科省はこの事実を深く受け止めて、真摯に是正し、誰にとっても平等な社会へ一歩勧めてほしいと切に願います。私は聖マリアンナで厳しすぎる条件を乗り越えて今学んでいる女子学生や浪人をした学生、今まで頑張ってきた医師達がその実力を十分に発揮できる様にしてほしいと願っているし、応援しています。また、この不正で不利益を被ってきた女性達を支えたいと思っています。

ではまた。

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