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小説「ほのお」3いま語れるのは回顧録

夫とは雪景色の中にいたことが多いのかな。
今の私には時系列に並べる気がない。

えぐられる。

タバコを吸いながらベランダで空を眺めながら・・・
この土地で一緒に余生を過ごすはずだった。

子どもたちとは帰ってきたよパパ。

パパはたばこの煙が嫌いだったよね。
私は蛍族になってるよ。でもね、この時代ベランダもダメなんだって。
知ってる?知るわけないよね。

あなたの最後にはいまだに触れられない。

あなたの最後の地に私はいっていない。

でも、ヨウはお別れのボタンを押したよ、誰にもあなたを取られたくない思いで私しかいない思いで押したよ。

いつもなんだかんだ言う浩輔のお母さんもいいよね。逃げたんだもん。
うるさい私の母はその場に入れてもらえなくて本当に良かった。
あの人がとやかく言ったら私は手に持ったものを投げて何かを壊すか、ついに実母を血だらけにしたに違いない。

あなたとのお別れ。

浩輔。
声は聞こえていたよ。
「ヨウは大丈夫。」あなたが私の脳に送る呪文。

あんな姿になって帰ってきたんだもの。
わらっちゃう。
キリストでも復活しないよね。
帰ってきてくれてありがとう。
帰ってきてくれたことが愛だと思った。
そして知ってる。
「ヨウ、オレはここまでの寿命。君ならわかるよね。」

うん。

何度も死にかけた。
ヨウはヨウが救ったと思っている。

あなたがいないとは一度も思ったことがない。
いま、ヨウが日々生きていることを眺めてる。
浩輔には見守るとか、警告する説かないもんね、
ヨウはヨウのままに。それが浩輔。

でも、ヨウからのお願いはほのおの中からあなたのいとおしい子供たちには松明を焚いて道を示してほしい。

熱いうちなる炎の持ち主であり、父である浩輔。

お願い。子供たちには希望のほのおをとどけてあげて。


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