2022年株式投資の勝ち方③

 インフレコントロールは緩和縮小、利上げ、量的引き締め(中央銀行の資産圧縮)、と言う順で進むのが金融政策の王道ですが、利上げと量的引き締めを同時にやるかも知れないとされるのが今のFRBに対する米国市場の見方です。

 片や日銀はどうでしょうか?マネタリーベース(日銀が直接的に供給するお金)は、21年12月の平均残高で前年比8.3%増の657兆831億円。金融緩和の継続で高水準を維持しているものの、金融機関向けのコロナオペが導入された20年の反動で、伸び率は20年6月以来の低水準。前月比では10月の660兆円(過去最高)、11月659兆円を下回りました。ただ、12月末のマネタリーベース残高は670兆0674億円と前月末より増え、過去最高を更新しています。

 その結果として市中に出回っているおカネであるマネーストックM3(企業、個人などの通貨保有主体の通貨量の残高・簡単に言えば現金と預金 )も11月の1527兆1000億円(修正値)の過去最高を更新して、12月マネーストックM3月中平均残高速報値は、前年同月比3.4%増の1531兆5000億円と、過去最高を更新しました。このようにおカネじゃぶじゃぶの異次元緩和状態は変わらないように見えます。

 最近、マネタリーベース月末残高は過去最高ですが、月中平残が10月660兆円、11月659兆円、12月657兆円となっている事から、日銀の資金供給量がこのまま減って行くのではないかと見る向きも増えています。暫くは高水準が続くので、減って行くとしても前年同月比でマイナスになる事はありませんが、4月以降にその時が来る可能性があるのではないかと、見る向きがあります。前年同月比でのマイナスは、黒田総裁が就任し「異次元緩和」を始めた2013年4月以降はありません。本年秋から23年春ごろにかけては数十兆円単位で前年比マイナスになるとの試算もあります。

 そんな中で開かれた今回の日銀金融政策決定会合は、数々の不安を打ち消すものでした。特に会合後の黒田総裁の会見は圧巻でした。黒田総裁は「利上げをはじめ、現在の大規模な金融緩和を変更することは全く考えておらず、そうした議論もしていない」として、巷に流れていた数々の「可能性」についても、議論もしていないとマーケットに対して若干サービスのし過ぎの様な否定の仕方をしました。

 しかし、現在の東京市場は、黒田総裁の配慮をあざ笑うかのような、米国株追随下落となっています。緩和縮小利上げへと進むFRBに対して警戒するのは当然ですが、大規模金融緩和継続の日銀を全く無視して売られている日本株は間違っていると思います。相場はよく間違えますが、長期間間違えが続く事はありません。

 とにかく下がったところは買いを考え、上がったところは売りを考える事が、今年のボラティリティの高い相場での勝ち方です。2022年相場は始まったばかりです。

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