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警察庁DNAセンターのお仕事

質問を受けることが増えてきた警察庁DNAセンターのお仕事について、科捜研や科警研との違いも含めて取り上げます。

警察庁DNAセンターとは

警察庁DNAセンターは、国の警察庁刑事局犯罪鑑識官が所管する組織であり、全国で採取された口腔内細胞試料のDNA型鑑定を行っています。

口腔内細胞試料は試料の形態および状態が画一的であることから、自動分析装置を用いた大量一括方式によるDNA型鑑定が可能です。
全国で採取された口腔内細胞試料を一括して鑑定することで、分析に用いる試薬や装置の効率的な運用が可能となり、都道府県科捜研の負担軽減にも繋がります。

警察庁DNAセンターの採用

警察庁DNAセンターでは、国家一般職技術系(化学、農学)から鑑定職員を採用しています。
国家一般職技術系(化学または農学)の分野を受験し、試験に合格した後に官庁訪問を行い採用されます。

採用後は所定の研修の後、DNA型鑑定業務に従事します。

なお、2年目から2年程度、都道府県科捜研へ出向し、科捜研でのDNA型鑑定を行う制度があります。

(国家一般職技術系の受験分野には法医や生物といった分野が存在しないため、比較的近い化学および農学分野から採用を行っていると思われます。
都道府県科捜研の化学分野とは行う鑑定の分野が全く異なるので注意が必要です。)

一般職試験(技術系:化学・農学区分)【DNA型鑑定技術職員候補】の採用について
https://www.npa.go.jp/about/recruitment/index.html#dna

科捜研法医のDNA型鑑定との違い

警察におけるDNA型鑑定は、各都道府県にある科学捜査研究所でも行われています。
しかしながら、警察庁DNAセンターと都道府県科捜研では扱うDNA型鑑定の種類が異なっています。

警察庁DNAセンターでは前述のとおり、被疑者等の口腔内細胞試料について大量一括方式によるDNA型鑑定が行われています。
試料の形態と状態が揃っているため、比較的ルーチン的な鑑定がメインになります。

対して、都道府県科捜研の法医分野では、犯罪の現場から得られた様々な試料について、それぞれDNA型鑑定が行われます。
現場から得られた試料は形態や状況が様々であり、長期間が経過した劣悪な試料や様々なものと混合した汚い試料などが持ち込まれます。
そういった試料ではDNAの抽出に際して前処理などに工夫が必要となる場合が多くあります。

それらの違いのため、実際の事件では、現場から採取した証拠品を科捜研で鑑定して得られたDNA型と、被疑者から採取してDNAセンターで鑑定した被疑者のDNA型について、それらが一致するかどうかを調べることになります。

警察庁科学警察研究所のDNA型鑑定との違い

犯罪捜査に関する研究機関である警察庁科学警察研究所(科警研)でもDNA型鑑定が行われています。

こちらは都道府県科捜研では設備や技術の関係で難しいような特殊なDNA型鑑定について、全国からの依頼を受けて鑑定を行っています。

科警研で働く職員は、国家総合職試験からの採用となっており、普段は研究活動のほか、科捜研職員への研修などを主な業務としています。

まとめ

このように、警察組織では、警察庁DNAセンター、都道府県科捜研、科警研と3つに分かれてDNA型鑑定を実施しており、それぞれの特徴に合わせた業務が行われています。

警察でDNA型鑑定をやりたい!と思う受験者の方は、それぞれの違いを念頭に置いて志望先を考えるとよいでしょう。

警察庁DNAセンターに関するこれまでのツイートはこちら
https://twilog.org/kasoken_jouhou/search?word=DNA%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC&ao=a

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