第7回「清流ガーデン 澤乃井園」老舗酒蔵が本気を出すと、こうも天国|パリッコ
☆NEWS!
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2020年9月25日(金)発売。四六判並製、184ページ、オールカラー。定価:本体1600円+税。全国書店様にてお求めください!
「澤乃井」という酒がある。
創業元禄15年(1702年)の老舗、東京都青梅市にある「小澤酒造株式会社」がつくる日本酒。もちろんラインナップは幅広いが、全体に、仕込み水に使う奥多摩の湧水を思わせる、透き通ったうまさが特徴だ。
酒蔵はJR青梅線沢井駅から歩いてすぐの場所にあり、年間を通して無料の酒蔵見学を受けつけている。酒好きたるもの、いつもお世話になっている酒がどのように作られているかを知る貴重な体験、一度くらいは味わっておくべきだろうと、以前、申し込んで訪れた。
約1時間をかけて、担当の社員さん引率の元、ひんやりした酒蔵の中や、仕込水が湧き出る洞窟などをゆっくりと見学して回る。工程の複雑さや仕事の丁寧さを知れば知るほど、どんどん自分の中で、酒のありがたみが増してくる。そうやって気持ちがピークに達したところで、実際に澤乃井の試飲をさせてもらえるのだから、こんなに酒がうまいシチュエーションもそうそうない。
見学後の「きき酒処」での有料試飲もお楽しみ。オーソドックスな銘柄が1杯200円から。貴重な大吟醸酒でも500円という手頃な値段で、常時10数種の酒が試飲できる。しかも試飲に使うオリジナルのロゴ入りおちょこはおみやげとして持ち帰ってよく、さらに、このおちょこを試飲カウンターに持っていけば、2杯目からは100円引きになるという大盤振る舞い。まさに酒好き天国といえよう。
ただし、この酒蔵がすごいのはそれだけじゃない。ここまででもだいぶ満喫しているけれど、さらなるお楽しみがこの先に待っているのだ。それが「清流ガーデン 澤乃井園」の存在。
小澤酒造のすぐ横には多摩川が流れており、その水面を見下ろすように、屋外の休憩所が併設されている。それが澤乃井園。
◆澤乃井園全景
実はここ、酒蔵見学をしていなくても自由に立ち寄れるスペースで、実際、ハイキングや散歩の途中にふらりと寄っていく人も多いのだとか。パラソル完備のテーブル席がたっぷりと、重厚なログハウス風の東屋があり、なんと軽食やみやげものの販売所が併設されている。もちろん、澤乃井も豊富に取り扱っている。つまり、あれこれ買って、ここで好きに飲み食いしていいわけだ。
◆酒飲みの夢をそのまま具現化してしまったような施設
そばやうどんなどの軽食の他、「モツ煮」「おでん」「板わさ」「味噌こんにゃく」「イカ焼き」などなど、もう普通に居酒屋のつまみみたいなメニューが揃っている。販売されているおみやげをその場で開けてつまみにしてしまったって、もちろんいい。また、地味に嬉しすぎるのが、澤乃井の日本酒多数の他に、ビールも置いてくれている点。そうそう、日本酒はもちろん美味しいんだけど、ときおりビールを挟みたいタイミングというのもある。そんな酒飲みのピンポイントな欲望をよ~くわかってくれているところなど、さすが酒造会社としか言いようがない。
◆木漏れ日の揺れるテラス席
◆覗き込む眼下の清流の美しさ
サラサラと流れる水音。鳥の声。木々のざわめき。それから、橋を渡って対岸にある「寒山寺」の鐘は誰でも自由についてよく、その「ゴーン……」と厳かな響きが、忘れた頃に耳に届くのもたまらない。そんなシチュエーションで、すぐ横の蔵でつくられた酒をのんびりと飲み、ほろりと酔っぱらえる。なんと贅沢なことだろう。
◆永遠にこの場所にいたい……
小澤酒造では、酒づくりに使う仕込水で、豆腐などの商品もつくっている。この豆腐がまた絶品で、個人的には特にここの絹豆腐を食べて、あまりの美味しさに腰を抜かしそうになってしまった。行けば決まってつまみに頼むし、おみやげにも買って帰る。当然のことながら、澤乃井との相性ばっちりなんだよなぁ……。
清流ガーデン 澤乃井園
住所:東京都青梅市沢井2-770
電話:0428-78-8210