短歌 8月【ポケット】【自由詠】

第187回「短歌ください」に送った短歌10首です。


【ポケット】

マジシャンのポケット内の鳩たちはお互い見ないようにしている

旅先の空気をポケットの中にしまって車は家へと向かう

少年はポケットに砂を詰め込んで空へと飛んでいかないように

ポケットの万歩計を意識していつもの歩幅忘れてしまう

四次元の入り口となるポケットが私の腹になくてよかった


【自由詠】

待ち合わせしている人を後ろから優しく照らすトリキの看板

20時を回りケバブが痩せている 味の選択限られている

隣人の喘ぎ声で淫猥な形に育つベランダ菜園

待ちながら ゴドーをずっと待ちながら そんな歌です 聴いてください

「お好きなのどうぞ」と書かれたダンボール箱に入っているタイタニック


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