猫の遺伝性疾患について

今回は猫の遺伝性疾患について書いてみようと思います

犬と同様に猫でも遺伝性疾患は多く存在し、日本で人気の猫種においても多く認められます

実際の臨床現場で遭遇機会が多い疾患について簡単に解説してみます

☆多発生嚢胞腎
スコティッシュフォールド、マンチカン、アメリカンショートヘア、ペルシャなど

腎臓に複数の嚢胞(液体の溜まった袋)が出来てしまう腎臓病で、初期には無症状ですが、徐々に嚢胞が増えたり大きくなったりすることで周囲の腎臓組織にダメージを与えて腎不全へと進行してしまいます
残念ながら予防や根本的な治療は存在せず、慢性腎不全と同様に食事や薬や点滴などの対症療法が行われます
4歳前後の若い段階から腎不全として症状が出てくることが多いとされています

☆肥大型心筋症
スコティッシュフォールド、マンチカン、アメリカンショートヘア、メインクーンなど

心臓の壁が肥厚(左心室)することにより、心臓がうまく拡張する事ができなくなってしまう心臓病
猫の心臓病の中でも最も発生頻度が多く、その程度によって元気や食欲の低下、胸に水が溜まる、血栓ができて詰まってしまうなどの症状が認められます
治すことは出来ませんが、薬を使って進行を遅らせたり、症状を改善する事が可能です

☆ピルビン酸キナーゼ欠損症
ノルウェージャンフォレストキャット、ラグドール、メインクーン、アビシニアン、ベンガル、ソマリなど

ピルビン酸キナーゼという酵素が欠損することで、赤血球が不安定になり、その結果赤血球が体の中で破壊されてしまう事で貧血を起こしてしまう病気です
貧血は生後2-3ヶ月で認められる事が多いです

これらの中でも特に肥大型心筋症の猫は多く、たくさんの薬を生涯飲まなければいけなかったり、定期的な検査や、酸素室での管理など生活の質が低下してしまう子も多くいます

こういった子達を1匹でも減らすためにはこれらの遺伝子疾患を持つ子を繁殖させないことが最も重要で、そのためにも遺伝子検査が多くの方に知ってもらえたらと思っています

今の愛猫が発症する可能性がある遺伝性疾患を知っておくためにも一度遺伝子検査についてご家族や獣医師と相談してみてもらえたら嬉しいです

ここで書ききれなかったそれぞれの猫種に起こりやすい遺伝病などについてブログの方でも書きましたので、興味をもっていただけたら覗いてみてください

https://petvetad-blog.com/genetic-disease-cat/

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