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その一挙一動が歴史に繋がる〜欧州カタールW杯最終予選 グループI アンドラ🇦🇩2-0サンマリノ🇸🇲〜

このカードのレビュー書くのは日本初説を某ライターに囁かれながら意気揚々とDAZNをポチッとしたところ、そこにあったサッカーはマイナーなサッカーなどではない、仕組みと工夫と意図と技術の溢れる「期待するヨーロッパのサッカー」だった。

アンドラ公国🇦🇩

人口:約78000人 首都:アンドラ・ラ・べリャ
FIFAランキング(21/8/12発表):156位
今大会成績:0勝0分3敗 得失点差-5 5位
一口メモ:国旗はフランスとスペインを足してオマージュされたもの。

スターティングメンバー
フォーメーション:4-2-2-2


交代:
65分 11番モレノ→8番M.ビエイラ
73分   3番バレス→10番X.ヴィエイラ
          7番プジョル→2番C.マルティネス
86分 19番フェルナンデス→22番ベルナト
        16番マルティネス→23番ルビオ

サンマリノ共和国🇸🇲

人口:約33000人 首都:サンマリノ
FIFAランキング(21/8/12発表):209位
今大会成績:0勝0分3敗 得失点差-10 6位
一口メモ:現存世界最古の共和国。

スターティングメンバー

交代:
46分   4番トマジーニ→14番ザフェラーニ
          6番ロッシ→5番 チェボリ
75分 10番トマッシーニ→7番ビタイオーリ
        20番ハルシュ→18番チェカロリ
        21番ルナディ→22番ムラローニ

アンドラ 2  -  0  サンマリノ
16 シュート数 12
5 枠内シュート 2
55% ボールポゼッション 45%
得点者:17分、24分バレス(アンドラ)

今大会において、お互いのチームのFIFAランキングを足したら最も多い数字になるのではないか(365)という一戦は、アンドラが国際試合において2018年3月22日(vsリヒテンシュタイン ○1-0)ぶりの勝利となった。
サンマリノにとっては国際試合において2004年4月28日(vsリヒテンシュタイン ○1-0)ぶりの勝利を目指したが善戦しながらもセットプレー2発による悔しい敗戦となってしまった。

"この試合の"両チームの印象

おそらく、実力拮抗した試合と強国を相手にした試合では戦い方が異なるであろう下位チーム同士の対戦。最も彼らの特徴が出しやすい試合であったこの試合での印象を残しておくことにする。

・アンドラ

個人技術が極めて高い。止めて蹴る運ぶに長けた選手が多く、オーソドックスなサッカーも去ることながら様々な戦術に適応できそうな選手が多い。「アンゴラ」に引っ張られがちなイメージだったが、よくよく考えたらスペイン(特にカタルーニャ地方)とフランスから影響を受けている国だ。テクニカルな選手が多いのも頷ける。

ピッチ幅を大きく使い、中から外、そこから高い技術でブロックを崩す斜めのパスを突き刺せるためワンチャンスではない戦い方ができる。セットプレーも力勝ちではなく、「セットプレーはキッカー8割」教に入信している私も感嘆するほどのキック精度で決め切っている。
今後の試合でビッグサプライズを起こすかもしれない。

こんだけ足元ある選手いっぱいいる土壌があるならアンドラってフットサルは強いのでは?と思って調べたらFIFAランキング97位。(日本は14位)なのであながち間違ってなかった(笑)

・サンマリノ

サイドを基調としたオーソドックスないわゆるサッカーっぽいサッカーを展開。
「サイドで攻めれば、奪われた後に同サイドで守れるようにしたらカウンター遅らせられるよね」を地で行きながら、プレスバックからのマイナス切りが徹底されている。サイドに追い込む意図をそのまま実行に移せるのは強い。サッカーは結局のところボールを手にしなければ得点できないからだ。ナショナルチームにおいて、ある程度(特にボランチ2枚に対して)の属人性がありながらもここまで追い込みが徹底されているのは驚いた。高い技術を持つ国を相手に堂々と誘導させて絡め取れるのだからそれはそうなのである。

またサイド攻撃を徹底するため、SBが積極的に上がり、仕掛けるのも面白い。攻撃の時点から相手にあえてサイドを匂わせているのだ。カバーに入っているボランチを信じていなければできる芸当ではない。209位侮ることなかれ。サッカーは世界中に息づいている。

※ サンマリノのサッカー協会設立は1934年。
    日本のサッカー協会設立は1921年。

試合観戦記

この試合、サンマリノに優秀なセットプレーキッカーがいれば結果は違ったものになっていたかもしれない。
アンドラの7番プジョル(右利き)と17番セルヴォス(左利き)の左右のプレイスキッカーはまさに必殺技だった。

押し込まれるまでボールを奪うことができず、奪っても組み立て直さなければ(とはいえアンドラは組み立てが上手いのだけど)攻撃に移ることができなかったアンドラに対して、サンマリノは「良い守備から良い攻撃へ」を描くことができていた。狙い通りの守備があることは大事である。

ただ、プレスバックの徹底が故に1失点目のファールがあることも考慮に入れなければいけない。そこはアンドラが上回っていた。

前半で2-0になったこともあるが、それでも前半からゲームを作っていたのはサンマリノだったことは記しておきたい。

ではアンドラが悪かったかと言うとそうではない。パスが回せるが故に、崩しの局面を大事にできなかった。サンマリノのプレスバックが速く、正確だったために、組み立ての局面からサンマリノのサイド追い込みを打開するとそこはサイド最奥。クロスから最終局面を迎えるしかなかったからだ。サンマリノの守備に対して、アンドラの特徴は相性が悪かった。ブロック守備できっちり構えて来るような国に対してどれだけゴールに迫れるか、今から楽しみである。

それぞれの気になった選手

この試合でピックアップしたい選手を1試合1人ずつ紹介していきます。

アンドラ

・7番 FWプジョル
キャプテンマークと金髪五厘坊主。いかにもな風貌ながら技術がとんでもなく高い。降りて来るタイミングも秀逸でサッカーIQの高さも窺わせる。39歳のベテランだが、老練な技術というよりも溌剌とした印象で、この試合で受けたイエローカードにより次戦であるイングランドの対戦は出場停止。ジェイソンステイサムを思わせるから、うん、それもよしとしよう。きっとイングランド戦の日に何かを運ばなければならないに違いない()

サンマリノ

・19番 FWニコラ・ナンニ
違いをもたらすドリブルは「こやつ、できるな?」と。セリアBクロトーネ所属の21歳。サンマリノの感じを窺うに、すげぇ期待の若手なんじゃないだろうか。ポストでの落としもあり、裏抜けあり、高さもあるのでターゲットにもなれるし、前述のドリブルも持ってる。サンマリノの歴史を紡ぐのは彼なのだろう。

結果と次節

これにより、

アンドラが1勝0分3敗
サンマリノが0勝0分4敗

となった。

次節は、

アンドライングランドとのアウェイ戦。
サンマリノポーランドとのホーム戦となる。

アンドラのビッグサプライズに期待したいが、ピックアッププレーヤーのプジョルが累積警告による出場停止と2得点を挙げたバレスがおそらく負傷による交代をしているのが痛い。

また両チームともに、強国との対戦となる。イングランドは言わずもがな、ポーランドはあのレヴァンドフスキを擁するわけで、戦い方も異なるはず。どういった戦いで勝ち点をもぎ取りに行くのか。

その一挙一動がアンドラ、サンマリノにとって大きな歴史の1ページを作る働きとなる。

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