河原町にはじき返された

四条河原町にあるユニクロに行ってきた。これからどんどん暑くなるこの町で暮らすにあたって、その前に夏物のお洋服を少し揃えておこう、という算段である。大学構内で完全に人目を気にせず過ごすことは至難の業であるから、「すでに持っている」というだけの理由でちいかわのプリントされた白い半袖を着ていくことは憚られる。かといって、適当なファッションブランドの服を買ったり古着屋さんに出向いたりするのはハードルが高い。というわけで、必然的に私はユニクロへと導かれるのである。授業が終わった私は、さっそく自転車を転がして、寺町通(御所の東側にある道)を南下していった。思えば、疫病神に魅入られたのはきっと、この時であった。
以前にも四条河原町へと物見遊山に赴いたことがあり、多少なりとも周辺地図は頭に入っていると思っていた。しかし、京都市内に張り巡らされた碁盤の目はあまりにも正確で、正確であるがゆえに地形的特徴が薄かった。ここで素直にGoogle Mapを確認すればいいものの、特性のものぐさとおくびょうを存分に発揮してしまい、「もうそろそろ曲がったほうがいいかも……」と左折して、鴨川を超えてしまった。Uターンしてさらに南下、どうにか三条通まで出た。ここからの道は大丈夫だ、木屋町通の強烈な通りにくさは鮮明に覚えている。ところがどっこい、私は18時半の歓楽街を舐めていた。道を覚えていても、進めなければ意味がない。芋を洗うような人々の往来の中で、自転車の最大のメリットであるその移動速度はそのままデメリットへと姿を変えた。なぜか立っていた警察官を見るにつけ、脳内にピーポくんがよぎる。ガムボールを必ず2つゲットできる私にとっては朝飯前といっても過言でないが、これほど精密なコントロールなハンドルコントロールを求められたのは久々であった。昔取った杵柄の助けもあって事故なく人々の合間を通り抜けた私を待っていたのは、満車の駐輪場であった。これはあまり気にしていない。別の駐輪場の存在を知っていたのである。そっちのほうが料金が100円高かった気もするが、知らぬが仏である。とりあえず愛車の置き場所を確保した私は、さっそくユニクロへと出向いた。シゴデキな私は「店舗受け取り」ができることを知っていたので、すでに注文しておいた数着を受け取り、いざ帰らん我が牙城へ。チャリンコを回収し、先ほどまでの込み具合に辟易していたので、いったん南下して鴨川を渡り、丸太町通りで戻ってこようと考えた。通りを進み、四条通に合流しようとした愚かな私を待ち受けていたのは、祇園祭もかくやというほどの大混雑であった。逢魔時の四条大橋の、その恐るべき人口密度は一見の価値がある。四条通の車道側に出るのも一苦労、出てから路上駐車のタクシーを避けるのにもう一苦労。右側を追い越していくバイクとバスに肝を冷やしつつ、川端通に入ると、すごく空いていて気分が良い。こういう道で夜風を切って走るのが楽しいのである。しかし、車通りがないわけではない。タクシーを避けるべく、車道左側からさらに左側を攻め、縁石にくるぶしをぶつけた。この時、急激に湧き上がるストレスを感じながら、このnoteを書くことを決意したのであった。
以上が、書きたかったことの全てである。別にくるぶしをぶつけることは大したことではないが、フラストレーションが迸ってしまったのだからしょうがない。最後に私がこの心を鎮めるために聞いていた音楽をいくつか共有しておく。

山寺宏一 - ハッスル
happy birthday - イチャイチャチュッチュキャピキャピラブラブスリスリドキドキ
あるくとーーふ - シャリライ
TMPra - 超でかい低音がスピーカーを狙っている
上野圭市 feat. SATOE - ふしぎなくすり
床井健一&Rub Rabbits - きみのためなら死ねる


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