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とりあえず釧路にいることにした #道東の未来

釧路に戻ってきてから、1年半くらい経ってしまった。
今までに過ごしたどんな環境よりも馴染みがあり、もはや知っている人だらけの釧路だけれど、24歳で釧路に戻ってきてからの1年は、凄まじいスピードで過ぎ去っていった気がする。

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釧路に戻ってきてから、「時がきたらはたらく日記」という日記を書き始めた。

帰ってきてすぐ、春から夏まで無職として生活していて、本当に豊かすぎるほど豊かな時間だったが、もう二度と戻りたくない過去にもなってしまった。
やることがなさすぎて、本棚にある本をぜんぶ読み直そうとしたり、ものすごく丁寧に餃子を作ったりしていた。豊かすぎる。もう絶対に戻りたくない。

夏には、ドット道東にアルバイトとして採用していただいた。
アルバイトと言いながら週に5日、1日4時間くらい働かせてもらっていたので、本当にありがたかった。
その反面いざ仕事となると、自分の仕事のできなさとか不器用さとか社会の複雑さとかにぶち当たってしまって、順応するのにとても苦労した。

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突然だが、自分はやりたいことがない人間だと思う。
色々な団体に所属していたりメディアに出ることが多いので、「やりたいことをやっていて、いいね!」とよく言われる。いえいえ、私には何もやりたいことがないんですよ、と頭の中でだけ突っ込む。
謙遜でも自虐でもなく、本当にやりたいことがないのだ。
できればずっと家で寝ていたいし、本を読んだりゲームをしたりしていたい。自分が唯一やる気を出せるのは、アイドルのサイン付きCDのインターネット販売(先着順)だけだと思う。

ずっと家で寝ていたいし、本を読んだりゲームをしたりしていたい。唯一やる気を出せる、アイドルのサイン付きCDのインターネット販売(先着順)だけ頑張りたい。

ただ、自分はすでに多くのことを知りすぎてしまったな、とも思うのだ。

外部講演で訪ねてきた私に「釧路のいいところはなんですか?」と聞かれ、「夕日、タンチョウ、釧路湿原」と答える子供たち。「どこがいいと思うんですか?」と再度問うと、「うーん、有名だから」と返ってくる。
「か志こは釧路で頑張ってるね。俺には真似できねえわ」と酒を飲みながら電話してくる友人。「戻ってきなよ。なんで真似できないのさ」と言うと、「だって仕事ねえじゃん。釧路つまんないし」と言われる。

私が釧路のことに関わり始めてから8年、こんなことばっかりだった。
その8年で、こんな人たちにも出会った。

いつも美味しいカレーと楽しい話を振る舞ってくれるカレー屋さん。
マニアックな映画を見ると、「あの人に教えなきゃ」とすぐに顔が浮かぶ古本屋さん。
釧路にしかないお店を発信しているローカルメディアの編集長。
甘いもので一息つきたいなと思ったとき、すぐに車で飛ばして買いに行きたくなる和菓子屋さん。
函館に3年間いた私が一番美味しいと思うハンバーガーを作るハンバーガー屋さん。
釧路でいちばん面白い、ヘンテコな人たちしか集まらない市民団体。

多くのこと、多くの人を知りすぎてしまったな、と本当に思う。

やりたいことはないけれど、8年の間で出会った言葉や人たちが、私を釧路に縛りつけていることは確かで、その縛りはまったく嬉しくも悲しくもないが、いつかそれが正解になればいいな、とは思っている。

自分が釧路にいる意味は別にない。そこに縛りがあるだけだ。
でも、「釧路に来たい」と思っている人に、「釧路に来る意味」を見せてあげたい。
「釧路に残りたい」と思っている人と、「釧路に残る意味」を考えたい。

やりたいことがない分、やりたいことがありすぎる人や迷っている人の助けになりたいと思う。
やりたいことがない人でも、それなりに暮らしていける釧路がいいと思う。

自分を縛っている言葉や人たちが、いつか自分が釧路にいる意味になるよう、釧路での生活を続けていきたい。
そしていつか、家で寝ながら本を読んだりゲームをしたりして、アイドルのサイン付きCDのインターネット販売(先着順)だけを頑張るような人間でも、じゅうぶんに満足して生きていける釧路になったらいいなと思うのだ。

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!!宣伝です!!

本日、ドット道東が実施中のクラウドファンディングが最終日です。
やりたいことがあるみなさん、ご支援よろしくお願いいたします。
やりたいことがないみなさん、ご支援よろしくお願いいたします。

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サムネイルの写真は、函館から釧路に帰るときによく利用していた高速バスのバス停での1枚。はらちゃんが撮ってくれました。

最後まで読んでいただいてありがとうございます! コメントなど、ご意見もいただけると嬉しいです。 いただいたご支援は、大好きなおやつカルパスとこんぶのお菓子の購入費に充てたいと思います。